SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


切るべきところで切らずう~、つなぐ部分でつながずう~、伸ばすところで伸ばさずう~

待望の楽譜が届いたので、まずは配付です。「鮎の歌」と「駿河のうた」。そして「ねむれないおおかみ」と「イルカの翼」は必要な人に。1600円だとか2000円だとか、めんどくさい値段がついているので、なにもかも1500円ということにします。なぜかというと、嶋田先生は今までのつながりから、2割引で楽譜を仕入れることができるからです。

新しい楽譜を手に入れると、なんだか新鮮な気持ちになりますねえ。せっかく手に入れたので、合唱組曲「駿河のうた」の「さくらえびの海」を紹介しました。

発声練習です。「駿河の海は桜エビの海」と歌い出す部分はユニゾン。CDと同じサウンドが響いて満足度100パーセント。「幻のように紅さす海」のハーモニーもすぐにOK。この曲の独自の世界が広がります。「こぼれた桜の花びらが波間に沈んでエビになる」の部分は、ソプラノの上昇音形を支えるメゾソプラノとアルトのハミングが非常に効果的です。これも、楽譜を見ないで背筋を伸ばして、発声練習にはもってこいの部分。「かわいい桜のエビになる」はハーモニーを作る練習にピッタリ。そして最後のソプラノのソロは、高音の練習です。いやあ、いい発声練習ができました。この冒頭の部分は、この日のメンバーはきちんとつかんで帰ることができたはずです。この部分は終結部にも全く同じ形で繰り返されますから、「さくらえびの海」の1/3はできてしまったことになります。

さらにくわしく進めたい気持ちを抑えて、「雉」「わさび田」「鮎の歌」の3曲を進めます。「雉」のドラマがあまりにも激しく、しかも悲劇的に終わるので(そのように悲劇的な響きを表現することができるようになったことは、投入した練習時間から考えると驚異的ですが)、「わさび田」の冒頭にその気分と声が引き継がれてしまい、ちょっと苦労します。「湧き水は、こんこんと湧いて、わさび田を流れる」という部分は、かぎりなく明るく、さわやかに、清らかさをもって歌い出さなければなりません。

「雉」の「山に轟く二連のこだま」という終結部は、すごく血の臭いがして、死というものを描いていて、痛切な哀しみをたたえています。それが出来ているだけに、わずか2小節の間奏の間に、パッと気持ちを切り換えなければならない。こいつが意外と難しいですね。まあ、何度か繰り返すうちに、それなりの清楚な声になってはくるのですが、サロンコンサートとは言え本番なのですから、そこは一発でできなくてはならない。本番の日の朝、何とかします。

「わさび田」はしかし、かなり温かな、さわやかな優しさをたたえた表現が可能になってきました。この曲、サラサラっと流れる心地よいテンポの部分と、情緒纏綿たる心情をたっぷりと歌う(つまりテンポが動く)部分とが交錯していて、それをキチッと整理するのが大変です。「雉」で述べたように投入した時間を考えると、よく健闘していると思いますから、嶋田先生の要求がやや高度すぎるきらいがあるのかもしれません。それに、来週の本番では、休団中のメンバーが初見を覚悟で助っ人に来てくれるかもしれませんので、その時にはその時で考えます。極端に言えば、全部を一定のテンポで歌い通すという方法も、それは一つのアプローチとして考えられますから。しかしながら、この楽譜には表記しきれないテンポの微妙な変化こそが、この曲を歌う醍醐味であることは事実です。

「鮎の歌」も、まずは感心する出来であると言えます。悪意をもって酷評するならば「ただ歌いとばしているだけ」と言うことも可能だとは思いますが、難しい音程の部分もリズムが交錯する部分も崩れることはなく、よく歌っていると思います。不足すると言えば、回数を歌い込むことから生まれる自信と情景を表現する細かい言葉使いですが、これは今後の課題です。時間が解決する要素でもありますし、一人一人の心の中で共感が発酵するのを待つべき点でもあります。しかしながら、ある程度の抵抗は必要です。

「鮎、鮎、夏」と歌う部分が何回か出てきますが、これは全て切ります。休符を入れる。ところが一カ所、「鮎、鮎、鮎のいのち」と歌う部分があります。ここは絶対につないで歌います。切ってはなりません。理由は「いのち」と歌うからなのですが、ここが曖昧でしたので、しつこく直しました。「切るべきところで切らずう~、つなぐ部分でつながずう~」「伸ばすところで伸ばさずう~」などと笑顔でイヤミを言い、ロミオとジュリエットの芝居を交えながら解説をする。いやあ、普通の人が見たら「変な指導だわ」と思うことまちがいなしですね。まあ、こうした部分も、休団中のメンバーが初見を覚悟で助っ人に来てくれた時には考えます。そう目くじらを立てて拘る部分ではありません。

アンコールの「地球はひまわり」は合格。楽譜さえ持っていれば歌詞に対する不安もないので大丈夫でしょう。

「富士山」は思い切り歌い上げればよろしい。そんなに真剣に「頭を雲の上に出した富士山は日本一なんだ」などと共感を高める話ではありませんので、ガーンと一発かましてやれば良い。

「夏の思い出」「小さい秋みつけた」「雪の降るまちを」は、人数さえ揃えば、良い演奏ができると思います。べつに「富士山」のようにメロデイーだけでもかまいませんので、開き直って明るく歌いましょう。オドオドしながら、ビクビク歌うのが最悪です。

「春の小川」も「富士山」と同様。思い切り歌い上げればよろしい。そんなに真剣に「春の小川がサラサラ流れて囁いているんだ~」などと共感を高める話ではありませんので、ガーンと一発かましてやれば良い。

ここからリコーダーを入れます。「コンドルは飛んでいく」と「花祭り」はギターとリコーダーで演奏しますが、後ろでボサーッと立っているだけでは面白くないので、「ここぞ」というところで手拍子を入れてもらいます。べつに特別な手拍子ではなく、4拍子で「パン、パン、パン、パン」と叩くだけで、当日3分もあれば理解できる話です。

「花祭り」は楽譜を配りました。休団中のメンバーが初見を覚悟で助っ人に来てくれた場合に備えて、当日も楽譜を用意しておきます。歌詞は「イェ、ガンダセ、ガルナバ。キャバ、エンヤニ、チョニータ」というもので、おそらくスペイン語。これを同じメロデイーで8回繰り返します。これも5分あれば理解できる話。分からなかったら、それらしくフニャフニャ言っていればよろしい。こういう音楽は、楽天的な遊びの気分が大切なのです。楽しく明るい声で雰囲気を盛り上げてください。

新入団員が2名、休団中の受験生が1名復帰。旧団員の復帰もあって、明るい材料が揃いつつあります。この日(1/31)入団の子にも2月7日はステージに立ってもらいます。当日の飛び入り参加は大歓迎。休団中のメンバーの「1日だけ復帰」を切に望みます。全て楽譜持ち。ただし、赤ベストのコスチュームが必要です。よろしくお願いします。

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