SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


悲しい曲を明るい声で歌う理由

【平成31年3月30日(土)】
今日もスプリングコンサートを念頭に置いて練習を進めましたが、「うたにつばさがあれば」にしても「鳥が」「あしたうまれる」「南海譜」「盲導犬S」にしても11月の定期演奏会に直結しますので、とても効率が良いと思います。
「うたにつばさがあれば」は入団して間もない子にはムズカシイ部分もあるでしょうが、3月の間にここまで歌えるようになってくれたことは大きな成果と言えるでしょう。まだ本番前ですがメンバーに大拍手です。
新実先生の4曲も同じことで、今回はアカペラの力(互いの声で生み出されるハーモニーを聴き取って対応する力)を高めようという狙いがあり、ピアノ伴奏が加われば歌いやすくなることは百も承知、千も承知の上で敢えてアカペラで歌っているわけです。だから「南海譜」と「盲導犬S」は「少し暗いな」「少し重いな」とは感じますが、よくハモっていると思います。
「盲導犬S」は実際に「みんなの歌い方は悲しすぎるよ」と言いました。確かに目が見えないことは悲しいことですが、「目が見えないという不幸」よりももっと大きな「真実の友情という幸せ」を持っていることを歌ったウタなのです。Sのような友達を持ちたいな、自分にはそんな友達がいるのだろうか…と自分自身に問い掛けてみますが、ハッキリと「いる」とは言えない嶋田先生です。ということは、この曲の主人公(目の見えない人)は嶋田先生よりも幸せであると言えるわけで、そういう友情を持っている主人公に対して憧れを抱き、自分もこの主人公のような友情溢れる友達を持ちたいと思うわけなんです。同時にSのような友達を持っていないであろう自分を振り返り、Sのような友達を作るために「もっともっと優しい人間にならなければ…」と自分を奮い立たせるわけなんです。
これが「盲導犬S」という曲に対する嶋田先生のイメージの骨格です。とどのつまりは「友情とは何か」「自分はそれを持っているか」という問い掛けであり、目が不自由なことを伝えようとする歌ではありません。「真実の友情を持っている幸せ」の歌です。だから、もっと明るい声で歌いましょう。
「南海譜」も明るい声が必要です。戦地に散った兵隊さんの無念の悲しい気持ちを思い切り表現するから暗い声になる…というのは確かに一理ある方法です。心ならずも命を絶たれた人の悲しみと無念さを思い切り歌いましょう。だけれども…。
こんな悲しい人がいたんだよ…と訴える歌ではないと思うのです。悲しみと無念さを思い切り歌いながら、聴く人に訴えたいことは「平和の大切さ」です。今、この平成という時代に、平和の素晴らしさ、平和であることの幸せを思い切り訴えたいのです。江戸時代はもちろん明治にも大正にも昭和にも戦争を繰り返してきた国、それが日本です。天皇陛下も言っておられます。「この平成という時代が、戦争のない平和な時代であったことを嬉しく思い、次の世代へと引き継がれていくことを心から願っています」と。
そうです。平成は日本の元号の中で唯一、戦争の無かった時代であったのです。
だから私たちはマヒしてしまっている。「戦争は無いのが当たり前」と思ってる。ちがいますか?
実は「戦争はあるのが当たり前」だったのです。「平和」というものがいかに素晴らしく、ありがたいものであり、実はその「平和」というものは極めて危なっかしい綱渡りのような状態で保たれているということを、私たちは知らない。考えようともしない。平和は当たり前だと思っている。
そこに一石を投じる歌なのだと先生は思っています。だからね、できるだけ明るい声で歌いましょう。
「鳥が」や「あしたうまれる」そして「ヨット」はピアノ伴奏に支えられてかなり明るい声が響きます。「鳥が」は音がムズカシイので来週も力を入れて確認するつもりです。

「文部省唱歌集」は本当の意味でレパートリーになりましたね。昨年11月の定期演奏会の後、老人ホーム慰問コンサートで2回歌っていて今回が3回目となりますから、メンバーの心の中での発酵も相当なものです。もともと小学校で歌っていたわけですからずっと以前から知っている曲であり、そこに「空」での濃密な表現を歌った経験値が加わって、そんじょそこらの小学生・中学生・高校生では紡ぎ出せない歌声だと思います。
しかしながら、このスプリングコンサートの後はしばらく「文部省唱歌集」ともお別れです。第23回定期演奏会に向けての準備が始まるからです。2月の大中先生追悼コンサートの後、来年の春休みくらいに入ると予想される老人ホーム慰問コンサートまで、心の中にしまっておいてくださいね。だけれども、1年くらい歌わなくても、少し練習すればすぐに今と同じくらいの表現を組み立てることができるでありましょう。そのくらいのレベルにあると思っています。あと、「ドレミの歌」と「エーデルワイス」にも同じことが言えますね。
結果論ではありますが、去年あれほどガンバって作り上げた「愛唱曲集」(「空がこんなに青いとは」「禁じられた遊び」等)は、いったい何だったのだろうと反省しています。

来週もう一度練習したら再来週はスプリングコンサートです。今回は「楽しさ」をアピールしたい。極端な言い方をすれば、全員でメロディーを歌うユニゾンコンサートでも良いと思っています。「この部分の音程が怪しい」とか「あまり練習に行けていない」だとか余計なことは考えないで、気楽にフリーに行きましょう。今日見学に来てくれた子(小学2年生だそうです)や来週「見学します」と連絡が入っている子(6年生の男の子だそうです)にも、「メロディーを歌ってくれればOKだから一緒に歌いませんか?」と勧めてみようと思っている嶋田先生です。

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