SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


「聴く力」があれば

【9月22日(土)】
先週は「ねむれないおおかみ」の後半6曲を除いて全ての曲を通して歌うというハナレワザを行ったので、今日は歌う曲を絞り込んで表現を深める練習が良いかなぁ…と思っていました。
すると、大変ウレシイことに「新入団員あり」とのメールが入り、その瞬間に「全ステージを通して歌う」ことに決めました。
集まったメンバーで自己紹介をした後、「空」は全員で全部の曲を歌うんだと宣言し、残り2カ月で「その子」が歌えるようにメンバー全員の協力をお願いしました。
これは当然のことです。合唱団「空」は芸術団体ではなく教育団体です。あと1週間で学芸会あるいは運動会の本番だという時に転校生が入ってきたら、絶対にその子が参加できるように役を増やすなり走る順番を変えるなり、そういう工夫をします。嶋田先生の役割は「全員が全ての曲を歌えるように基本を押さえる練習を組む」ことと「表現を追求し深まるように練習を組む」ことです。メンバーには「それを実現させるために力を貸してください」とお願いしました。
まずは童謡曲集「ねむれないおおかみ」。1曲目からスタートし、先週歌えなかった6曲まで、全部を一通り歌うことができました。ただ通しただけではありません。全員でソプラノパートを1回歌ってから、自分のパートを歌ってハモらせるという方法で12曲です。
これは初見の子が「必ず1回聴いてから歌う」ことができると同時に、全員が「メロディーラインを再確認してから歌う」という合唱の基本中の基本を押さえることになります。本当は、全てのパートを確認してから歌うことができれば良いに決まっているのですが、そこまで基本に立ち返っていては時間が足りなくなります。
それにしても、みんな真剣にソプラノを歌ってくれましたし、音程が正確だったのには脱帽しました。このことは湯山先生がお見えになったら報告します。
メンバー全員がメロディーラインを歌うことができます。口が一つしか無いから、子どもたちは仕方なく自分のパートを歌っていますが、もし口が三つあったら一人でハーモニーを作って歌うことができるでしょう。とね。
次は「向日葵の歌」です。これは恒川さんと嶋田先生でソプラノのメロディーラインを歌って聴いてもらい、その後で全員でハモらせるという方法にしました。「向日葵の歌」は「童謡」に比べてピアノ伴奏が充実しているので前奏や間奏が長いのです。この前奏・間奏を含めて全員でソプラノを歌っていてはサスガに時間が足りない。恒川さんと嶋田先生は、間奏をすっ飛ばしてヴォーカル(歌う部分)だけを聴いてもらったわけなんです。この時に感じたことは「みんなよく聴いている」ということです。嶋田先生は当然ソプラノに対面して歌っているのですが、背中に感じるメゾソプラノやアルトの様子が「非常によく聴いている」ものとして感じられました。
これまでに何度も書きましたが、音楽をする上で最も大切な力は「聴く」ということです。手が無くなったらピアノもリコーダーもできません。ノドに癌ができれば歌うことはできなくなります。目が見えなくなったら楽譜を頼りに表現することは不可能です。しかし、手が無くてもノドが機能しなくても目が見えなくても、「聴く力」があれば何らかの形で音楽をすることができます。みんなが確かに聴いていてくれることを感じて嬉しかったですね。
途中「大漁」あたりから嶋田先生は歌うことを止めて、全てを恒川さんの歌声に任せました。どうしてかと言うと、
恒川さんの歌声を聴いてから自分のパートを歌ってハモらせる
という形の方が良い…と思ったからです。呼吸・発音・高い声の響かせ方、これらのことは言葉で説明していたら絶望的に時間がかかります。聴くのがイチバン手っ取り早い。「あっ、いい声だな」「あっ、今のフレーズ、ステキだな」「あんなふうに歌えるようになりたいな」と思ってくれるだけでメチャクチャ効率が良い時間になります。そういう時間に確かになっていました。
ここまでで22曲歌って休憩。
休憩後は同じ方法でアンコールの3曲。ものすごいスピードです。
残り30分。「サウンド・オヴ・ミュージック」に入ります。「グレゴリオ聖歌」は先唱を高校生に歌ってもらいました。おぉっ、なかなか良い響き。かなり近い。嶋田先生が夢に見ている理想のイメージに。少なくとも嶋田先生が先唱者になるよりも良いことが実感できました(笑)。「朝の讃美歌」も「ハレルヤ」も一回通しただけですが、みんな自信が付いてきたのかな。
「サウンド・オヴ・ミュージック」はステキです。そうそう、YouTubeで「ジュリー・アンドリュース フルコンサート」という動画を見つけました。1995年2月17日にNHK交響楽団をバックに歌っている「サウンド・オヴ・ミュージック」を聴くことができます。「ドレミの歌」や「エーデルワイス」も歌っていますし、他のミュージカルのナンバーも聴くことができます。
「私のお気に入り」はムズカシいですね。一回や二回歌っただけでは整理がつきません。「ひとりぼっちの羊飼い」も同じくです。このあたりは次回以降の練習を工夫します。
いずれにしても2週間で(2回の練習で)全ての曲を1~2回通して歌うことができました。これは大きい成果です。どの曲をどのように深めれば良いか、嶋田先生の頭の中には課題がハッキリとしてきました。
このレベルになると一週間に一度という練習は本当にキツイです。そのキツさをカバーするためにも、「向日葵の歌」と「ねむれないおおかみ」については配布したCDを何度か聴いておいてくださいね。
素晴らしい時間をありがとうございました。

Comments are closed.