SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


ふれあい合宿 1日目

【8月16日(土)】
今日は驚くべき成果が上がりました。と言うか、驚くべき効率の良さでした。この1日だけで、普段の土曜日練習の4日分くらいの仕事をこなすことができました。
10時過ぎに到着して入所手続きを終え、10時30分くらいから先行して練習を開始しました。この時間で、まだ手を付けていなかった「もみじ」「冬景色」「ふるさと」の音取りを完了してしまったのです。
毎回、何度も書きますが、パートごとに別々の部屋に分かれて音を取るパート練習など、嶋田先生に言わせれば「合唱を知らない人」が行う練習です。
合唱とは、自分(のパート)と相手(のパート)との掛け合いであり、相手に自分がどう合わせるか…という面白さです。
だから全員が全部のパートを一通り歌ってからハーモニーを作るという方法は絶対に効率が良い。時間がかかるようですけれども近道です。何の近道かというと「合唱の力を高めるための近道」です。
メンバーに言ったことは、楽譜を見て、ピアノの音なり先生の歌声なりを聴いて、どんなにムズカシそうな音(旋律)でも1分以内なら正確に再現できる耳を育てよう…ということです。

明日になったら忘れても良いのです。そのメロディーを忘れても「見て」「聴いて」「再現する」という合唱の力は確実に高まっていきます。それが大切です。

しかも他のパートの動きを体験しているわけですから、自分のパートの音が(自分の歌声が)相手のどんな音と和音を作るか、体が知っている。体で覚えた合唱ですね。

全部のパートをバンバン歌って90分で3曲仕上げちゃうってんですから、たいしたもんだと思います。

昼食の後から予定の練習。「夕やけこやけ」は、まず2年生の教科書を歌います。ハ長調です。曲の最後はミソラソドーと「ド」で終わります。で、すぐにニ長調に転調する。高い「ド」を歌ってから、次の瞬間にソプラノは「ラ」、メゾソプラノは「♯ファ」、アルトは「レ」を歌うわけです。

これがイともカンタンにできちゃうわけです。ソプラノの「ド」から「ラ」ってのはまだ良いとして、メゾソプラノの「ド」から「♯ファ」ってのは、相当に大変です。アルトの「高いド」から「低いレ」も同じく。普通の子供にゃ不可能です。って書くと「空」の子は普通じゃないように思えますが、みぃんな普通の子なんです。別に特別な才能の集まりでもなく、入団試験をやる合唱団でもない。

ようするに「合唱の力を高める」練習をすれば、よほどのクルクルパーでない限り、誰でもできるようになる。先生はそう思います。

ニ長調に転じた若松正司編曲のコーラスはキレイにハモります。ちょっと強弱の表現に起伏が無いかな。まぁ、今の段階では指揮者が前にいませんから、強弱については「夕やけこやけ」に限らず注文は付けませんでした。第一優先は音程と、それに伴うハーモニーです。

以下、「春の小川」「富士山」「さくらさくら」「もみじ」「冬景色」「ふるさと」を、もう一度全部のパートを全員で歌ってからハーモニーを作りました。

萩原英彦の編曲は素晴らしいと思います。実にシンプルで歌いやすい。1番から3番までの間に余計な(特別な練習を必要とする)発展が無く、1番さえ覚えてしまえば後は最後まで通してしまうことのできる余裕があります。特筆すべきはピアノ伴奏の魅力で、教科書伴奏と比較するのもためらわれる…と言ったら言い過ぎでしょうか?みんなはどう感じましたか?

夕食までに1時間ほど余裕が生まれたので、「サウンド・オヴ・ミュージック」から「朝の讃美歌」を歌いました。これも美しくハモります。こういう曲は歌詞に対する思い入れを必要としないので、早い話がとにかくハモればOK。終結部のアルトの重低音もキチンと聴こえてきました。

その次の「ハレルヤ」よりも大変なのが1曲目の「グレゴリオ聖歌」です。この曲はラテン語で、ラテン語という言語は現在、世界中のどこの国でも使われておらず、キリスト教の教会の中でのみ残っている言語です。どういう意味かは誰も知らない。そんな言葉があるって信じられな~い、なんて言うのはアサハカというものです。私たちがお葬式の時に聴くお経「南無妙法蓮華経」とか「南無阿弥陀仏」という言葉はサンスクリット語という言語で、もちろん意味はあるのですが、その意味を分かってお経を唱えている人は日本人の中にほとんどいないでしょう。そういう言語は日本を含めて世界中に存在します。

で、困ったことは、メンバーに意味を伝えて表現を作っていくという嶋田先生の武器が通用しない。そしてグレゴリオ聖歌というものは拍子の音楽ではないので、数学的に言えば1小節目や3小節目は8分の11拍子、6段目の1小節目は8分の15拍子になります。

この見たことも聴いたこともない言語と拍子がメンバーの感覚を狂わせ、どうすれば良いのか見当もつかないという戸惑いを生んでいます。

どうするか。明日2日目の「空ノート」をお楽しみに。

夕食後はソリスト決めを行いました。ソロが必要なのは「春の小川」と「さくらさくら」と「冬景色」、そして「あめふりくまのこ」と「赤い風船とんだ」です。高校生以下のメンバー全員の声を聴き、嶋田先生が選びました。ただ、嶋田先生はメンバーに背中を向けて声(と声の組み合わせ)だけで選んだので、選ばれた子が誰なのか、このノートを書いている夜中にもまだ知りません。

感じたことは、全員が非常によく歌っているな…ということです。音程が外れてどうしようもない…という子は一人もいない。みんな、かなりの水準です。決して多いとは言えないメンバーでキチンとハーモニーを作ることができるのは、一人一人のメンバーがレベルアップしているからなんだ…と改めて思いました。嬉しかったです。

さて、嶋田先生もソロソロ寝ることとします。明日もまたガンバロウ。

 

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