SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


快心の演奏でした 愛知県合唱連盟合唱祭

【6月9日(土)】
今日は快心の演奏と言って良いでしょう。
合唱団「空」にとって23回連続の出場となった(東海メールクワイアーは15回連続です)愛知県合唱連盟合唱祭。同じCブロックに出場した団体のプログラムを見ても、圧倒的な知名度の「エーデルワイス」と「ドレミの歌」です。おそらく会場にいた1000人近い聴衆のほとんどが知っている曲です。
有名な曲であればあるほどゴマカシが効きません。ミスや不安定な部分があれば、みんなが知っている曲ですからミスがみんなに分かってしまう。誰も知らないムズカシそうな曲を歌えばミスがあっても誰も知らない曲なのですから誰にも分かりません。
「エーデルワイス」と「ドレミの歌」という組み合わせは、おそらく世界中の合唱祭で歌っても知っている人がいるナンバーですから、ミスの露呈と言う点ではリスク(危険性・心配)の大きい選曲でした。
そのリスクを全く感じさせない表現ができたのは、メンバーの集中力でした。

実は午前中の練習では危ない部分がいっぱいあったのです。柔らかくて美しい声なのですが躍動感と生命力がない。あるいは(きれいな言葉を使えば)冷静沈着な表現なのですが(乱暴な言葉を使えば)ただ歌っているだけの味気のない歌声です。
だから午前中に徹底的に言ったことは「ワクワク感」です。音は十分に取れています。十分な音程ですから、その音程が重なって生まれるハーモニーも及第点です。しかしハジケる楽しさがない。きれいすぎる、冷静すぎる歌声です。
使った練習手法はクレシェンドです。クレシェンドという表現方法は「だんだん強く」という意味からも分かりますが、いちばん実行しやすく、しかも効果が明確になる方法です。本番3時間前に処方する即効性のある薬ですね(笑)。
しかしテキトウに選んだ薬ではありません。「ドーはドーナツのド」と歌う時、音はだんだん高くなっていきますから誰がどう歌ったって自然にクレシェンドになります。「レーはレモンのレ」も「ミーはみんなのミ」も同じこと。楽譜に示されていないこの表現記号を、ホンの少し強調して、メンバーの心の中にある表現の本能をくすぐったわけです。
次に確認したことは音程です。「ドミミー」の音程は普段の練習でやっていますから簡単にクリア。「ミソソー」も簡単。「レファファー」もクリア。問題は「ラシシー」です。この音程は普段トレーニングしていませんし(滅多に出てこない音程ですから)大人でも難しい音程です。
これが、かなりのスピードで6回も繰り返されるのですから大変です。「耳を使え」「聴き合って助け合え」とキビシク呼びかけました。
最後はメロディーライン。午前中の練習に参加してくれた5人のソプラノメンバーに拍手。メゾソプラノとアルトが、かなり複雑なハーモニーを作っていますから、その上にメロディーをキッチリと浮かび上がらせることは大変です。だから5人には立って歌ってもらい、どこを気を付けて歌うかのポイントを掴んでもらいました。「エーデルワイス」の冒頭「ミーソレー」の音程はリコーダーなどで演奏するのも簡単ですから、歌うのもカンタンだと思われがちですが実はそうではない。肉でできている(笑笑笑)人間の身体で作る音程としてはかなり難しい部類に入ります(楽器で演奏するのはカンタンです)。
湯山昭先生がリチャード・ロジャースを評して「ボクの目から見ても、「ミーソドー」ではなく「ミーソレー」と「レ」を使った、この作曲の着眼は素晴らしい。ロジャースは天才です」と言っておられたことを話しました(これは本当の話です)。
この部分に限らず「エーデルワイス」のメロディーラインをキチンと歌うことは実は大変で(楽器で演奏するのはカンタンです)、5人のメンバーにはかなりの負担とプレッシャーをかけました。
しかし報告しておきますが、すぐに修正してそこそこの成果を上げ向上してくれるのが嬉しかった。短い時間で音程を正確にして、かなり美しくメロディーラインを作ってくれました。
それを支えるメゾソプラノにも立って歌ってもらいました。次はアルトにも同じことを要求しました。
そして、ソプラノとメゾソプラノだけで歌ってアルトは聴いている、メゾソプラノとアルトだけで歌ってソプラノは聴いている、こうした練習の中から不安定な部分が払拭され、ハーモニーに磨きがかかってきました。

磨きがかかってきたと思ったころに電車の時間となり、練習を中断しなければならなくなりましたが、あと1時間練習すれば、これはまた相当な進歩を生み出すことができたであろうと思います。残念無念。

このような過程を経て本番のステージに臨んだわけなのですが、午前中の用事を済ませて駆けつけてくれたメンバーを加えての本番ステージは、練習で「やってほしいな」と思っていた表現を全部実行に移してくれた快心の演奏となりました。

この演奏音源は、近々ホームページで聴くことができるようになるか、はたまたトップページのBGMに使われるか、いずれにしても皆さんの手元にとどくことになると思います。先生も楽しみにしています。

今日の演奏を実現してくれたメンバーと、支えてくださった父母会の皆様に、熱くお礼を申し上げます。ありがとうございました。

 

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