SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


トキメキ

【4月7日(土)】
4月になりました。月曜日はみんな始業式ですね。新しい先生や新しい友達との出会いを大切にして、みんなの学校生活が充実したものとなりますように祈っています。
今日は事務連絡から。
〇 4月21日(土)のスプリングコンサートは名古屋北文化小劇場が9時に開きますので、9時に入れるようにしてください。つまり、集合時間は8時55分…ということになります。
〇 アクセスは、地下鉄の黒川で降りて、バスターミナルではなく「黒川北」というバス停から乗れば、来たバス全てに乗れます。2つ目の「北図書館」で降りれば道路を渡ってすぐです。黒川から歩けば10分くらいです。
〇 ピアノは調律しません。1ヶ月前に調律済み…ということもありますが、時間が欲しい。9時に入館して、いろいろ準備した後、9時30分から本番のステージを使ってリハーサルをしたいのです。
〇 このコンサートを企画した時点で宣言してありますが、受験や学校の事情などでなかなか参加できなかったメンバーも、当日の朝のリハーサルに参加してくれれば何とかステージに立つことができる、そういうプログラムを組んでいます。極端な話、全部メロディーを歌ってくれれば(メロディーラインが明確になりますから)すごい助けになります。「半年ぶりの参加です」なんて言うメンバーも大歓迎です。
〇 衣装は赤べストのみ。アラカルトの第3ステージに立つ子は赤べストを脱いで独自のスタイルでも構いませんが、第4ステージまでの1分間に舞台裏で赤べストにチェンジできるようにしてください。
〇 アンコールは「ドレミの歌」にします。いろいろハーモニーは難しいですが、当日参加のメンバーはメロディーラインを歌ってください。

さて、練習報告。部屋に入って参加メンバーの顔触れを見た瞬間、「向日葵の歌」や「ねむれないおおかみ」ではなく、スプリングコンサートで歌う曲を全部さらうことに決めました。
「文部省唱歌集」「愛唱曲集」「新・愛唱曲集」ともに、かなり歌いこなれてきた印象です。表現というものは、表現する人が「このように表現したい」という「思い」を持っていることが何よりも大切です。嶋田先生は小学校の先生ですから、小学校での経験を語りますと、(学校の音楽室での)小学生は「こう歌いたい」と思っている子はほとんどいません。その曲に取り組む時間が授業だけでは決定的に足りないのです。小学生が悪いのではなく、1年間に50~70時間という音楽の授業時数の問題です。
「空」は1週間に1回というハンデはありますが、これらの曲に数カ月の時間を投入しています。日曜日から金曜日までの間に練習することはありませんが、心の中で音楽が発酵していくためには十分な時間です。
今日は何度も「好きなように歌ってください」「指揮なんかなくても歌えますよね」といった言葉を使いました。
これは指揮者としては極めて無責任と思われるかもしれませんが、そうではありません。
「好きなように歌ってください」と何度も言いましたが、だからと言って今までとは全く違う大声を張り上げたり、自分だけが全く異なるテンポで歌ったりなどということは皆無です。みんなで聴き合ってみんなで表現する、その方向性は全員が理解している。その表現の方向性を整えるために今までの練習があったわけであり、その練習を演出するのが指揮者です。みんなで練り上げた「空」の表現の骨格は揺るぎないものがあり、そこにどんな筋肉を付けるかとか、どんな服を着せようかといった点にメンバーの自主性が委ねられているわけなのです。
その自主性がなければ「好きなように歌う」ことはできない。どのように歌うか、この「思い」を育てることは極めて難しいことであり、その「思い」を感じることができる今の状態をとても嬉しく思います。
しかし問題が無いわけではありません。今日は表現の消極性を何度も指摘しました。
たとえば「世界の約束」。この詩が女性詩であり、歌う対象の「あなた」は既に死んでいるのではないか…と言ったのは嶋田先生です。歌詞の後半は「今は一人でも 明日は限りない あなたが教えてくれた 夜に潜む優しさ 思い出のうちに あなたはいない せせらぎの歌に この空の色に 花の香りに いつまでも生きて」と歌います。
死んでしまった「あなた」を思い出して嘆く歌なら、暗く寂しく歌えば良い。しかし、ここは思い切り明るく喜びに満ちて歌い上げなくてはならない。なぜなら、
「今は一人ぼっちでも 君の明日は限りなく広がる そう、あなたは教えてくれたわね 見えないところにも 優しい魂が宿っていることも」と歌った後、「あなたはいないのではなく 川のせせらぎの音とともにあなたはいる この空の色の中にあなたはいる 空の香りの中にあなたはいる いつまでも生きて私を見守っている」と気付くトキメキです。「あなた」がそばにいてくれると気付いた喜びです。だから思い切り積極的に、明るく生き生きと歌い上げましょう。今日は、一見悲しく見えるコトバを表現する「小ささ」があり、声に伸びがなかった。大きくダイナミックに、あふれる喜びを歌いたいものです。
たとえば「禁じられた遊び」。この曲は中間部はニ長調ですが基本的にはイ短調です。その短調を歌う時に声が暗い。消極的です。
これは小学校の授業で「長調は明るい感じ」「短調は暗い感じ」と教わるからで、そのことをよく記憶している成果です(笑)。しかしですね、短調は暗いという教えは「空」では捨て去りましょう。具体的には浜田先生にベートーヴェンの「エリーゼのために」冒頭部分を弾いてもらいました。この有名なメロディーを暗い嘆き節に感じる人はいないはずです。エリーゼ(史実はテレーゼ)を思うベートーヴェンの愛の歌、心のトキメキです。
「禁じられた遊び」の歌詞は読みこんでおいてください。その骨格は、幼かった時を思い出す温かな気持ち、心のトキメキです。

自分一人で歌う時、あるいは頭の中で音楽を思い起こす時、みんなは「文部省唱歌集」や「愛唱曲集」をどのように(頭の中で)歌うのでしょうか。その表現があるかないか、それが大切です。
なぜなら、共感やイメージを豊かに持つ人は「思いやり」のある人であり、先生はみんなに歌のプロや上手な人になってほしいのではなく、ただ一つ「優しい人」になってほしいと願っているからです。

次回はフェールマミでの練習です。4月21日は半年ぶりのメンバーも大歓迎であることを繰り返しておきます。それでも何とかなるように9時30分からのリハーサルを組みます。集合時間は8時55分、よろしくお願いいたします。

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