SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


収穫

【3月31日(土)】
今日は久しぶりのフェールマミでの練習です。フェールマミにはグランドピアノがありますから、「空」のOBならみんな知っている「声の響きの訓練」を行おうと思っていました。
カンタンに言えば、声でピアノの開放弦を鳴らそうというものです。ピアノの開放弦はドナリ声でも鳴りますが、ドナリ声を忠実に反映した汚い鳴り方をします。よく響く美しい声を出すと、忠実に美しく響きます。不思議なものです。そして、これは声の大きい小さいにはあまり関係がありません。響く声かどうかだけが、どうやら「ピアノ君」の関心事であるようです。
結果としてはメンバー全員がピアノを鳴らすことができました。大切なことは、「もっと鳴らしたい」と思っているかどうかです。ピアノがどれだけ鳴ったか数値化することはできませんが、でも今日、自分の声でどれだけ鳴ったかは一人一人の耳に残っているはずです。ぜひとも「もっと鳴らせるようにしたい」「嶋田先生を超えたい」と思っている子であってほしいと思います。

その後は「向日葵の歌」から「砂の王国」を取り上げました。「砂の王国」は身体を一杯に使って全力で声を響かせなければならない部分がありますので、ピアノの開放弦を鳴らすトレーニングと深いつながりを持たせることができます。
その効果は十分にありました。P56は本当にキツイ部分ですが、初めて歌う子が多かったのに、それを感じさせないほど豊かな響きで歌うことができました。
初めて歌う子が多かったのに…。
もうひとつ感じたことは、初めて歌う子が多かったのに、嶋田先生が1回見本で歌っただけで正確に音を取って歌えるようになる、その効率の良さです。全員で上のパートも下のパートも両方を歌ってからハーモニーを作るという方法にもかかわらず、「砂の王国」1曲に投入した時間は15分くらいでした。
これは「聴音」という「聴く力」が備わっている証拠でありまして、「もみじ」や「さくら」や「世界の約束」に比べて湯山先生の音楽をカンタンに感じてしまいました。あまりにもアッサリと歌えるようになってくれるからです。
休憩まで残り15分。新しい曲は止めて、「蜂と神さま」をおさらいしました。これも嶋田先生が1回お手本で(?)歌いましたが、音取りはそれで充分でした。1回聴いたらほぼ正確に再現して歌う力が確かにあります。
実は「蜂と神さま」のメロディー(ソプラノパート)には難しい部分があります。「~の中に」という歌詞が7回出てきますが、6小節目と12小節目はレソソ、8小節目と14小節目はシファファ、10小節目はミシラ、16小節目はミドシ、そして18小節目はシララなのです。特に10小節目のミシラと16小節目のミドシの歌い分けがムズカシイ。過去のこの部分の練習で、どれだけの時間を投入したことか。
しかし今日は、そのことを一度も言いませんでした。ただ嶋田先生が1回歌って聴かせただけです。たった1回聴いただけですから10小節目と16小節目がアヤフヤになることは予想されることで、アヤフヤになったら指摘しようと思っていたのですが、その必要はありませんでした。
完璧に歌えましたよ…とは言いませんが、聴いた音を聞いたとおりに再現して歌う力は過去の団員と比べても最高のレベルにあるようです。
今日の2番目の収穫でした。

休憩の後、「サウンド・オヴ・ミュージック」から「ハレルヤ」を音取りしました。これで「グレゴリオ聖歌」「朝の讃美歌」「ハレルヤ」という1~3曲目までの流れが通るわけです。全員が初めて歌う「ハレルヤ」ですが、楽譜を見て鍵盤の補助があれば、全員が全部の4パートを歌うのに10分もかかりません。それだけで、そこそこハーモニーを作るができるのですから、とっても嬉しかったです。ムズカシイのはソプラノの最高音とアルトの重低音です。特にアルトは1オクターブ低いミがあり、この音は低すぎて鍵盤ハーモニカにも無いのでカバーできません。今は男の子に受け持ってもらっていますが、さすがに苦しそう。どうするか、本番までの課題です。
そして、6月の合唱祭で歌う曲は「エーデルワイス」と「ドレミの歌」であることを発表し、「ドレミの歌」に突入しました。
「ドレミの歌」はハッキリ言って、人に聴かせることができるレベルではありません。ところどころに穴が開いていて、上手いとか下手とかいうレベルではなく、歌になっていない…と言えます。
原因は分かっています。全員がメロディーを完全に知っていて、歌詞もほとんど完全に知っているからです。
だから、小さいころに覚えたメロディーを経験値で歌ってしまう。一人一人が持っている危ない部分をすっ飛ばして、歌う楽しさがモロに先行している…そんな感じです。
もう少しキビシク言えば、各パートは音は分かっているから音程はかなり正確なのですが、パート間の連携が取れていない。つまりソプラノはソプラノ、メゾはメゾ、アルトはアルトで勝手に歌っていて、ハーモニーの構築がない。
だから部分部分で止めて、そこでどんなハーモニーが鳴っているかを確認しました。具体的にはP43下段の2小節目やP44上段の1小節目などです。そしてピアノ伴奏なしで、人間の力だけで音を取ってハーモニーを構築する、すなわち互いが互いの声を聴き合うという原点の練習をしました。
しましたら、すごく美しくハモるではありませんか。けっこうオドロキの変化が生まれました。
知っているメロディーをボヨ~ンと歌うのではなく、相手がミとソだから自分はドを歌うという、相手に合わせて自分がこう歌うという練習です。あったりまえのことじゃねえか、と言われそうですが、そこが欠けていた。欠けていた部分を修正すると、すごく美しいハーモニーでした。
これが今日の1番の収穫であったことを報告しておきます。

さて、明日から4月。みなさんの新しい生活学校生活が幸多きものとなりますように、心から祈っています。

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