SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


好きなように歌ってください…の意味

【2月24日(土)】
毎回毎回の練習で集まるメンバーが少しずつ変わってくるのはチーム活動の宿命です。今、銅メダルを賭けて戦っている日本女子カーリングのメンバーだって、全ての練習で全てのメンバーが100%いっしょ…ということは有り得ないことだったでしょう。熱を出すことだってあるし、どうしても外せない仕事が入ることだってある。本当のチームワークとは、欠けたメンバーがいるのは毎回あたりまえ、その欠けたメンバーが次回の練習に来た時に、サポートできる自分になれるか…そんなふうに考えることのできるメンバーになるということでしょうね。
今日は久しぶりに大学生になったサポートメンバーの参加もあり、とても充実した楽しい練習ができたと思います。
受験で参加できないメンバーがいれば、入団したばかりのメンバーもいる。そんな状況で4月21日にサポートし合うことのできる状況を作るためには、やはり歌う曲を全部通しておく必要があります。
で、「愛唱曲集」から始めましたが、難しい「エーデルワイス」を含めて「ビリーブ」も「花は咲く」も「空がこんなに青いとは」も、とても良いと思います。去年からの貯金が生きているというのか、みんなの中に「どのように歌いたいか」という「思い」が膨らんでいることを感じます。「ここをクレシェンド」とか「ここはフォルテ」などという指示はほとんど必要がなく、今日は何度も「自分が好きなように、歌いたいように歌ってください」という指示を何度も出しました。
「好きなように自由に歌え」という指示は指揮者としては非常に無責任な発言と思われるかも知れません。しかし、合唱団「空」はプロの合唱団ではありません。日常生活の上では普通の何の変哲もない子供たちの集まりです。
学習指導要領には「感受・工夫を伸ばし」とか、名古屋市教育課程(音楽)には「個々の思いを生かし」とかの言葉がありますが、嶋田先生は自分のこれまでの授業の中で、一人一人の思いを生かして好きなように表現するという授業を展開できた自信はありません。なぜなら、授業は4時間完了とか5時間完了というシバリがあり、その曲を4~5回の授業で完了させなくてはならないのです。授業の半分、約20分を「ビリーブ」に投入したとして、20分×4回で「一人一人の思いが膨らむ」という状態を全員に作り出すことは至難の業です。自分の反省を込めてですが、なかなか大変なんですよ、授業というものは。
それに比べると合唱団「空」は、一週間に2時間半しか練習できないというハンデはありますが、しかし1年~2年、メンバーによっては(これまでの最長在団記録は10年)もっと長い時間を継続する指導を展開することができます。
「愛唱曲集」の楽譜を配ったのはちょうど1年前ですが、何度かの小さいステージで歌うことで経験値が高まり、初見の曲では得られない手ごたえを感じることができるのは確かです。
「あすという日が」に始まる「新・愛唱曲集」は、いくつか注文をつけました。
まず、「あすという日が」ですが、歌い出しが柔らかすぎる。暗い…と言っても良い。早い話が元気がありません。即座に浜田先生からフォローが入ります。ピアノ伴奏の音が2分音符で止まってから歌い出しまでの間に1拍半の間があり、「歌い出しが不安になる」と言うのです。これは、指揮を明確に振ることでクリアできます。だから、そう指揮しますが、しかしメンバーには「大空を見上げてごらん」という言葉は励ましのコトバであり、友達を励ます時に不安そうな元気のない力のない声は使わないだろう…ということは知っておいてほしい。
それから終結部の「幸せを信じて」の後に、楽譜にはないハミングを作ります。このハーモニーはムズカシイものではないので、今日のメンバーは1分で歌えるようになりました。受験生たちは30秒もかからないでしょう。終結部に、そのような処理をするということは知っておいてください。
「世界の約束」は61小節目にあるリットを60小節目からかけます。つまり「この空の色に」からユックリになり「色に」のハーモニーはフェルマータ。せっかく作ったハーモニーはを十分に聞いてもらおうというわけです。

休憩の後は「文部省唱歌集」から「さくら」。今日は「さくら」だけを歌いました。先週の空ノートに書いた「はなざかり」の部分を一人一人バラバラに、自由な歌い方にして、ミファラシのハーモニーを作るということを実現できるか、練習してみました。結論は、嶋田先生が思い描いている表現が実現できそうです。すごく美しい日本音階の不協和音です。
しかしメンバーの反応はイマイチで、「この美しい「さくら」という曲を歌うのに、なぜそんなムズカシイことをするのか…」という思いを感じました。いやいや、技術的にはムズカシイことはないのですけれども、「そんなにキンチョウして歌いたくない」って思っているような感じ。
これは誰からも言葉として聞いたわけでもなく、訴えられたわけでもないのですが、まぁ、そういう「感じ」を感じ取るかどうかは、担任の先生としては必要な力です。
どうするか、実際にそのように歌うかどうかは未定です。「なるほど、そんな歌い方もあるのならやってみたい」と思ってくれるようにするのが授業です。ですが、納得も共感も賛同もないまま、その表現を強行するような嶋田先生ではないということを、ここに記しておきます。
最後くらい初めての新しい曲を歌いたいのは嶋田先生も同じです。残った30分で「サウンド・オブ・ミュージック」から「朝の讃美歌」を練習しました。驚いたことに最初から最後まで通ってしまった。こういう曲は「空」の子は上手いです。鍵盤ハーモニカの助けがあるとは言え、普通の子供が20分や30分で歌える曲ではありません。この曲は無伴奏ですからハーモニー感覚を養う上では最高の教材です。しかもリチャード・ロジャースの渾身の作品。歌い込むほど合唱団「空」独特の味わいが出てくることと思います。
5分余ったので最後は「サウンド・オヴ・ミュージック」を無理やり最後まで押し通して歌い切り、返す刀で「ドレミの歌」。
いやぁ、たくさん歌ったねぇ。嶋田先生は楽しかったです。本当にありがとう。

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