SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


第21回定期演奏会 大成功

【11月26日(日) 第21回定期演奏会】

21回目となる定期演奏会は湯山昭先生をお迎えするのが10回目となる記念の演奏会ともなりました。前日の土曜日は合唱団「空」始まって以来の本番指揮者(湯山先生・嶋田先生)不在の練習となり、指揮とコーラスとピアノのアンサンブルや、細かい表現の統一性に不安がありましたが、子どもたちもピアノの浜田先生も見事な集中力で、指揮を見て音を聴いて、どのステージも会心の出来と言って良いと思います。

朝、ピアノの調律が終わって本番のステージが使えるようになった時、まっ先にやったのはコーラスを二つに分け、半分はステージに残り、もう半分は客席の最後部に移動する…というものでした。それで浜田先生に「北陸づくし」を弾いてもらい、客席後部のメンバーが歌う声をステージのメンバーは黙って聞いている…という実験をしたわけです。
ステージに残っているメンバーとピアノとの距離は数メートル。一方、客席最後部で歌っているメンバーとピアノの距離は約70メートルです。ピアノから出された音は約70メートル飛んでいって客席後部のメンバーの耳に届き、その届いた音に合わせて一生懸命に歌った声は、また70メートル飛んで帰ってきて浜田先生とステージのメンバーの耳に届きます。
その距離の合計は約140メートル。音は1秒間に約300メートル進みますから、ステージで聞いているメンバーの耳にはピアノの音と客席後部で歌う声とが約0.5秒ズレて聞こえるわけなんです。その後、二つのグループの役割を交代し、全員にこの「音のズレ」を体験してもらいました。

「ドミソの歌」は会場のお客様が歌います。以前の「空ノート」にも書きましたが、歌う人数が巨大になったり離れた空間で歌ったりすると、音のズレ(やまびこ現象)が起こります。要するに揃わないんです。どんなに歌が上手な人でも、世界一のトップ歌手であっても、この現象は避けられません。
で、「ドミソの歌」の時に「あれ?何だかヘンだなぁ。私って、うまく歌ってないのかしら?」などと抱くであろう不安を、あらかじめ解消しておいたのです。説明して頭で理解させるより、実際に自分自身の耳で確かめてもらったわけです。

脱線になりますが、NHKコンクールや名古屋市小中学校合唱フェスティバルなどでは、ピアノはステージ下手の端っこに置かれることが多い。これは歌う子の顔がピアノに隠れて、お客さんに見えにくかったりテレビカメラに映らなかったりすることを防ぐ配慮です。
ところが、そうするとソプラノとピアノとの距離に比べて、アルトとピアノとの距離がかなり長くなります。つまりピアノの音がソプラノには早く聞こえてアルトには遅く聞こえるという現象が起こり(計算上、その時間差は0.05秒くらいにはなると思います)、アンサンブルが乱れる原因となります。
合唱団「空」はピアノを可能な限りステージ中央に配置します。以前、1列目のメンバーの顔が見えない…と言われたこともありましたが、だから「空」は1列目が合唱台の2番目に上ることでクリアしています。はい、脱線終了。

この実験があったおかげかどうかは分かりませんが、どのステージも実に細かい部分まで行き届いた緻密な演奏をすることができました。
嶋田先生的には「北陸の子ども歌」が会心の出来で、特に「眠らせ歌」は実に繊細な表現でした。嶋田先生がやってほしいと思って指揮した手の動きに完璧にコーラスが応えています。ややゆったりとしたテンポを設定した「北陸づくし」もハッキリと歌詞が発音されて、また声が非常に明るく、その声は音楽が描いている世界とよく合っていました。出色(しゅっしょくの=とても優れた様)の演奏だったと思います。CDが完成したら、この演奏音はぜひともYouTubeにアップしてほしいものです。

そして、前半の2ステージが終わった後、客席から戻ってこられた湯山先生の第一声は「いやぁ『駿河のうた』は名演でしたね」というものでした。みんなに配ってある参考音源CDの合唱団は深い発声が特徴(持ち味)で、だからやや暗い声に聞こえます。「空」のCDが完成したら聞き比べると分かると思いますが、今年の演奏会の「空」の声は頭声(いわゆる裏声)と胸声(いわゆる話し声)が適当に混ざり合って、かなり明るい声に仕上がりました。悪く言えば発声が少し浅いのですが、それは持ち味というもので、良い悪いの問題ではありません。
とにかく「駿河のうた」によく合った声だったと思います。「うなぎの子守唄」では、かなり嶋田色を出した指揮でしたが、よく付いてきてくれて上手く表現してくれました。感謝します。ありがとう。

後半、「童謡歌曲集」は客席の一番後ろで聴いていました。それで驚いたのですが、歌詞が非常によく分かりました。とてもクリアな発音です。しかし、それ以上に表現が上手い。日本語が他の意味に聞こえないように…とは日頃から言って聞かせて、重点的に練習してきましたが、その成果でしょうか。日本語の意味を客席にとてもよく伝えていたと思います。

「ドミソの歌」はお客様アンケートを見てもとても評判が良かったです。元気よく生き生きとした歌声で、お客様も聴いていて楽しかったことでしょう。歌っているみんなも、「ドミソの歌」が一番楽しかったのではないでしょうか?
心配していた客席との音のズレもほとんど気になることはなく、まぁ、これは、みんなが指揮をよく見て、ピアノの音をよく聴いて歌っていたからに他なりませんが、練習の時には感じなかった「勢い」を感じることができました。
スカーフを用意して下さった父母会の皆様、とりわけ光の演出を担当してくださった方々に、深く感謝を申し上げます。ありがとうございました。

第21回定期演奏会は多くの面で大きな成果を上げることができました。団員と父母会の努力と頑張りに敬意を表します。

平成30年11月4日(日)の第22回定期演奏会は、「サウンド・オブ・ミュージック」と「シューベルト歌曲」、それに湯山先生の童謡曲集「ねむれないおおかみ」と「向日葵の歌」で決定です。湯山先生の了解も得ています。
今年以上に楽しく盛り上がることができますように、力を尽くしたいと思います。

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