SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


脳を鍛える

【11月4日(土)】
先週は湯山先生をお迎えしての練習、大きな成果をあげることができました。
「素晴らしい歌声です」との賛辞を何度もいただき、その余韻も冷めやらぬ中、もはや余計な新しい表現の約束事は無用でありましょう。あとは、いかにコンディションを整え、心のボルテージを高めていくか…に尽きると思います。
今日の練習に参加してくれたメンバーに対して、これまでに何度も口にしてきた言葉を繰り返します。「自分が高まることだけを考えてください」と。
湯山先生の指揮で「童謡歌曲集」や「ドミソの歌」を歌った時、もう実感し納得してくれていると思いますが、誰でも「アッ、やばい」と思った瞬間があったはずです。「あっ、次の歌詞って何だったっけ」と思った瞬間が一度もなかったというメンバーはいないでしょう。そんな時は、誰でも自然に声に自信が無くなり、時には黙ってしまうことだってあったはずです。
その時に助けてくれたのは隣にいるメンバーでした。自分が「危ない」と思った時、隣のメンバーの自信に満ちた声に支えられて、危ない瞬間を最小限に抑えることができる…。合唱というものは(スポーツを含めた全ての人類の活動は)そのような支え合いによって営まれています。
そのように友達を支えることができるのが「実力」というもので、そのためには高まった部分が多ければ多いほど良い。実力もないのに友達を支えることはできません。真実の「チームワーク」とは、「友達を支えることのできる実力」を持った人にこそ語ることができるものです。
チームの中には様々な事情を抱えたメンバーもいます。これは当然です。年齢も受験など家庭の事情も違うのですから、なかなか練習に参加できない子がいるのは当たり前のことです。そのようなメンバーも、時間を見つけて楽譜を見るなどの努力をしているはずです。そのメンバーを支える力。そして自分が受験生になった時には、今苦しんでいる子が活躍メンバーになっていて支えてくれる。その繰り返し。チームワークとはそういうものです。

だから今日のメンバーにも「自分が高まることだけに集中しろ」と言った。表現の細かい部分はOKですから、歌詞についてです。しかし深刻な練習は禁物。ゲーム感覚で高まるのが一番ヨロシイ。漢字でも計算でも跳び箱でも、何でもゲームにしてしまうのが嶋田先生の得意技です。
「童謡歌曲集」の全ての曲で、4小節ずつリレーして一人で歌ってもらいます。立って歌うのがポイント。間違えた子は座ってもらいます。座っていれば次の順番がきても飛ばされてしまいます。どんどんリレーしていって、その曲が終わった時に生き残っているのは誰か…、というわけ。もちろん楽譜を見ないで歌います。あくまでもゲーム。
これは自分が歌っていない時に全神経を集中して友達の歌を聴いていなければならず、脳生理学的に言っても声を出して歌うよりもよほど脳を鍛えることになります。

練習が終わった後、浜田先生の語るところによれば、ピアノの練習でも何小節か弾かないで聴いていて、ある小節からイキナリ弾き始める…というトレーニング方法があるそうです。1曲を全部通して弾くよりも、何小節かずつに分けて弾く方がはるかにムズカシく、つまりは音楽が頭に入る近道になるとのこと。嶋田先生はそのことを分かってやっていたわけではないのですが、嶋田先生の合唱の経験則がピアノの世界にも通じるものだということが分かって嬉しかったです。

結果発表。曲の終わりまで生き残っていた子の人数は以下のとおりです。

「ひとつの地球」ルール説明に使ってゲームせず

「走れフェニックス」5人

「ねこのマズルカ」13人

「白い花火」9人

「ぞうのこ」12人

「歌声よ いのち新しく」8人

「妖精のワルツ」12人

「12の月のうた」6人

結論を記せば、全ての曲で全滅する(生き残る子は一人もいないだろう)と思っていた嶋田先生は驚きでした。特に「ねこのマズルカ」や「ぞうのこ」が意外なほどの好成績で非常に嬉しかったです。そして、現在の一人一人の声を聴く(とらえる)ことができました。みんな、夏の頃よりもビックリするほど声が良くなって、伸びのある声になっていました。嬉しかったです。

おまけのゲームとして「12の月のうた」ではトーナメント戦を行いました。予選は三人のグループで歌って間違えずに生き残った一人をチャンピオンとし、チャンピオン同士で決勝を行いました。

このチャンピオン戦はさすがに熾烈なもので、しばらくの間は誰も間違えません。ハイレベルな戦いになりました。しかし残念ながら座った子もあり、最終的にはNSさんとRMさんの二人が生き残って勝利を分け合いました。

もともとこの練習は覚えている子にとってはワケもないゲームなので、結果を気にする必要はありません。もし、このゲームを「空と樹海と湖と」でやったとすれば、全員が生き残ることになると思います。今日は「危ない」と思われる曲でゲームをしただけに過ぎません。そして「やばい」と思って座ってしまった子が、次にどのように巻き返してくるか。嶋田先生は誰がどこで間違えて座ったかなんて覚えていないもんね。課題を自分で捉え自分で解決しようとする子は強い子です。そして「友達を支える実力」を高めることになります。

「ドミソの歌」について連絡。次回11月11日(土)に湯山先生がいらした夕食の折、次のように提案してみようと思います。

P7の2段目までは楽譜通り。聴衆に「このように歌ってください」と範を示します。聴衆が入ってくる3段目31小節目から、アルトはドーで伸ばし、メゾソプラノはドーミーで伸ばし、ソプラノは楽譜どおりソまで行く。以下、ファラドもソシレも同じ。43小節目はアルトが楽譜通りでメゾソプラノはドーで伸ばし、ソプラノはドーミーで伸ばす。つまり和音を作るわけです。そして47小節目の「主三和音」に入る。P7~8だけの話で他の部分ではやりません。

合唱団「空」の新しい「ドミソの歌」。湯山先生が何とおっしゃるか分かりませんが、試みとしてはオモシロイと思います。頭の中でイメージしておいてくださいね。

今日もエネルギーを与えてくれた子どもたちに心から感謝を捧げます。ありがとうございました。

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