SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


「北陸づくし」に1曲集中

【7月1日(土)】
先週は港区のPTA行事で練習に参加できず、みなさんには申し訳ないことをしました。この「空ノート」が書けないのも嶋田先生にとっては大きなストレスです。
その間、25日(日)には桜山の駅で団員とお父さんにバッタリ会い、「ビックカメラ」に行ってきました。今その帰りです。とのことで、「店内では3月に録音したCMソングが流れていましたよ」との報告を受けました。
一度、聴いてみたいものです。しかし今の嶋田先生にはビックカメラに立ち寄ろうかという時間はありません。学校のPTA関係の仕事と同時に、7月16日(日)には青森県の八戸市で日本男声合唱協会のコンサートがあり、その練習に4月からほとんど行けていないのです。実は明日2日にも練習があり、だからその練習には絶対に参加しないといけない。嶋田先生のモラルが許さない。そんな状況です。
変な言い方ですが、「空」があるから嶋田先生は生きています。学校でもほとんど子供たちと触れ合うことができない…、東海メールクワイアーの木曜日練習にもほとんど参加できない…そんな中、「空」のみんなは嶋田先生を待ってくれています。私は今、「空」の子たちから「生きる力」をもらい、合唱団「空」によって生かされている。本当にそう思っています。

そんな状況ですから、1回1回の練習は大切です。みんなのレベルアップを目指す以前に、自分自身が一週間生き延びる力を得るために、今日の練習を大切にしたい。
選んだ曲は「北陸の子ども歌」の終曲「北陸づくし」です。嶋田先生には滅多にないことですが、2時間30分全てを、この1曲に集中することとなりました。
以前から浜田先生や恒川先生に、「5曲目が大変ですよ。嶋田先生、大丈夫ですか?歌えますか?」などと言われていて、「大丈夫ダイジョウブ、歌えるに決まっているじゃないですか」と答えながらも、その不安はメンバーの子どもたちも同じでしょうから、早めに解決する必要がありました。むしろ今まで取り組んでいなかったことが嶋田先生の怠慢と反省されるところです。
「北陸づくし」をムズカシイと感じる原因は変拍子です。P50だけでも4拍子と3拍子が混在しており、P51に入ると4/4、2/4、3/4、6/8と拍子が入れかわります。
このような場合に有効なのがスモールステップという学習法です。カンタンに言えば、2小節だけとか4小節だけとかに細かく分解して、その部分の解決だけに集中し、クリアできたらドンドン次をクリアしていって、クリアした部分を結合させていく…という方法です。

脱線しますが、嶋田先生が2年生の担任だった時、クラスに漢字が大変苦手な子がいました。画数が多くなると覚えられないし、しかも書き順の意味も理解しておらず(低学年にはよくあることだ)、書き順がデタラメだから間違いも多くなる…という悪循環です。
「頭」という漢字が書けません。何度やってもダメです。
「先生、ボク、もうイヤだぁ~」と言って泣き出したその子をダッコして、「よし、じゃあ、数字の1を漢字で書いてみろ。書けるか?」と言いました。その子は「ウン」と言って嶋田先生の膝の上で「一」という漢字を書きました。
「よーし、じゃあ次は、くちを書いてみろ。どうだ?」と言うと、「口」という字が書けます。
「じゃあ、カタカナで「ソ」と書いてみろ」
「もう一度「一」を書いてみろ」
「よし。じゃあ場所を変えて、もう一度「一」と書くんだ。
「次はカタカナで「ノ」と書くんだ」
「次は漢字だぞ。1年生で習った「目」という字を覚えているか?」
「次はカタカナで「ハ」が書けるか?」
バラバラで「一」「口」「ソ」「一」「一」「ノ」「目」「ハ」と書いたその子の頭を思い切り撫でた後、「よーし、それでは」と言って早口言葉を教えました。
「いちくちそいち いちのめは」です。「言ってみろ」というとチャンと言えます。
10回くらい、その早口言葉を言わせた後、「いち」「くち」「ソ」「いち」「いち」「ノ」「目」「ハ」と書かせて、これで「頭」という漢字の出来上がりです。そして書き順も完璧。その子が「頭」という漢字を間違えることは二度とありませんでした。

1メートルの段差があったら誰も越えられませんが、20センチずつの5段にすれば誰でも登れます。これが階段です。それも越えられない車イスの人がいたら階段を無限数にしてスロープにする。そうすれば自力で登れます。

「北陸づくし」にしても「頭」にしても、そのものを一発でクリアしようとすると無理が生じます。難しいと思ったら、バラバラにして一つずつクリアしていけばよい。これ、練習の極意ですね。
このノートを読んでくれた本日の欠席者は、もし鍵盤を叩く余裕があるのなら2~4小節ずつ叩いて、その部分だけを歌うようにすると効率が良いと思います。
先々週に書いた「うなぎの子守唄」の長大なフレーズを一息で…という話と矛盾するようですが、「うなぎの子守唄」と「北陸づくし」とでは曲の構造が違います。
「うなぎの子守唄」はまとまった固まりとして覚えた方が良い。「北陸づくし」はバラバラのパーツを一つ一つ覚えて組み合わせた方が良い。
相手に合わせて対抗法を変えるということです。

今日のこのノート、練習の記録という意味ももちろんありますが、勉強方法に行き詰まり壁にぶち当たったメンバーに応用してもらいたい…という願いをもって書きました。

来週は老人ホームのコンサートですね。みなさん協力してください。今日は、そのための練習はいっさいやっておりません。その練習は来週の本番当日で十分です。「北陸の子ども歌」や「駿河のうた」の練習もやりますよ。

老人ホームの慰問は、「空」のボランティア活動の中心をなすものです。みなさん、よろしくお願いいたします。

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