SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


老人ホーム慰問コンサート ご苦労様でした

今日は豊明老人保健施設でのコンサートでした。
慰問コンサートを行う上でのこれまでの「空」の練習パターンは、コンサート当日の午前中ただ1回きりの練習で午後の本番を乗り切る…というものでした。小学校の音楽教科書に載っている文部省唱歌ですから、午前中の練習だけで十分です。それに、この方法は、本番に出られる子だけが(当日に)練習をすることになり、非常に効率が良いという目論見もあります。
小学校の教科書と言っても、リコーダーを入れたり3番を作ったり、テンポや強弱を工夫したりすることで、かなり充実した表現を作ることができます。
今年の慰問コンサートは、これまでとは目先を変えて、愛唱曲集を中心にプログラムを組みました。愛唱曲集プラス「春の小川」「茶摘み」「ふるさと」と「おかしの家」というものです。
結論を先に記すと、午前中には慰問コンサートの練習は一切やらず、「北陸の子ども歌」オンリーとなりました。
なぜ、そうしたかと言うと、一番の理由は「愛唱曲集」が本当の意味で「いつでもどこでも誰でもが歌える曲集」になりつつあるということです。これは本当に嬉しいことです。
第二は、おそらくは多くの中学高校が中間テストの前日で、ために集まったメンバーが多くはなかったこと。コンサートの日程設定に問題がありましたね。今後は中間・期末のテスト日程を考慮に入れて(今回も分かっていたはずで、ゴメンナサイです)日程を設定しましょう。
第三は、午後の本番は参加できないけれども午前中の通常練習には参加するというメンバーがいて、逆に午前中の練習には参加できないけれども午後の本番には駆けつけるというメンバーもいて、その人数が相当数いたということです。
こちらはできないけれども、あちらは可能だから力を尽くす、Aは無理でもBは頑張る…この姿勢、好きです。本当に嬉しいことです。だって、人生にはこのような考え方や取り組む姿勢が非常に大切だと思うからです。

本番には居ない子に対して本番の曲を練習したって意味はありません。また本番に参加する子を抜きにして本番の曲を「ああしろ」「こうしろ」と言っても効率が良くない。で、午前中の練習は午後の本番に全く関係のない曲(すなわち「北陸の子ども歌」に取り組むこととなったわけです。
実はこれは合唱団「空」始まって以来の出来事でした。本当に初めてとった方法です。午後に歌う曲を午前中に全く練習しないなんて、よく考えれば相当な離れ業です。歌う方も指揮する方も、また伴奏する浜田先生にとっても、かなり度胸を要することで通常は有り得ない。通常は有り得ないことを可能にしてしまうところに、今の「空」の充実を感じています。今、集まっているメンバーにとって最も「得になる」「必要な」練習を行うことができました。

「誰も歌ったことがない曲、全員が初見の曲を練習しましょう」と言って始めた曲は「眠らせ歌」です。日本の子守唄に共通することですが歌詞はかなり重いです。子守は他人の赤ちゃんを子守するというもので、「本当に子守はイヤなもの、親に叱られ子に泣かれ、(家を追い出されて)他人の家の軒先で一夜を明かす」といった内容が歌われています。その思いをギュッと凝縮させる表現に半年かけておいて、本番直前には「しかし明るく歌う…」という指導計画を立てたいところですが、これは「四国のこども歌」でサンザンやりましたから、今の「空」には通用しない。手の内がバレています。だからと言うわけではありませんが、とにかく音程です。これが、決して多くはない人数でしたが、正確に取れて美しいハーモニーを響かせることができました。「いやぁ、歌えるもんですねぇ」という言葉を何回言ったかなぁ。私、ダメなものはダメ…とちゃんと言いますから、「歌えるもんですねぇ」というようなコトバは、本当に予想以上の成果が表れた時にしか使いませんよ。こう見えたって一応、プロの教師なのですから。へたくそなのにホメて伸ばすのは小学校の低学年の授業では常套手段(嶋田先生も1年生の担任の時はおおいに使った方法)ですが、「空」に使える方法ではありません。「眠らせ歌」を最初から最後まで通すことができたことは望外の成果でした。

返す刀で「毬つき歌」を復習します。歌い込んでいくと楽しい音楽ですね。というわけで、「毬つき歌」と「眠らせ歌」の2曲を通し(!)、さらに「遊び歌」を半分ほど歌うことができました。

こんなことを午前中にやっていて迎えた午後の本番は、これまた充実した時間となりました。「エーデルワイス」「ビリーブ」「花は咲く」「禁じられた遊び」などの曲は多くのお年寄りもご存じのメロディーであったようで、歌詞は知らなくても小さな声でメロディーを口ずさんでおられる方がおられました。「茶摘み」は一緒に手拍子をしてくださり、「ふるさと」のアカペラバージョン(嶋田先生のクドイ表現)では多くの方が一緒に歌ってくださいました。ピアノ伴奏を入れるとさらに歌声は大きくなりました。子どもと親とお年寄りとが一体となって歌った「おかしの家」は、練習していた時には想像しなかった楽しい雰囲気がありました。

また一つ、「空」の活動記録の中に貴重な1ページを刻むことができました。

 

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