SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


一億円でも買えないもの

今日は2月の最終練習日。次が3月4日(土)、その次が3月11日(土)で大高イオンコンサートの本番ですから、そのコンサートでのプログラムを一通り歌うことから練習を始めました。なぜなら今日来てくれたメンバーが来週も絶対に来られる…という保証は無いからです。インフルエンザということもありますしね。

かく言う嶋田先生も高熱で学校を休んでしまい、今日は用心のためにマスクを着用しての参加でした。元気のない練習ですみませんでした。

「エーデルワイス」は元気がない。朝イチはいつも声が出ません。まぁ今日は、先生も元気がなかったですけれども(深謝)。しかし、ポイントは押さえます。ポイントとは音程です。元気があろうがなかろうが、強く歌おうが弱く歌おうが、歌は音程がイノチです。

「エーデルワイス」という曲は、以前にも書きましたが歌唱表現の基本中の基本が詰まっています。ミーソレー、ドーソファー、ミーミミファソラーラソーというハ長調の音階。これは簡単そうですが、正確に歌うことは至難の業です。続くレッソソーシラソミーソドー(かおれ朝の風に)というフレーズを一人一人に歌ってもらいました。個人が持っている微かなズレを修正していって全員で再び歌うと、見違えるほど音程が正確になっています。これは合唱の最も面白い要素の一つで、一人一人が抱えている問題は違うということです。たとえば嶋田君が抱えている音程が不安定な部分というのは、浜田さんが危ない部分とは違うのです。嶋田君が危ない部分は、他の多くの子にとっては問題のない部分です。で、その他の子の誰かが抱えている弱点は嶋田君が得意な部分であったりするわけです。

だから一人一人に歌ってもらって、10秒か20秒、ほんのチョッとしたヒントで修正するだけで、全体としては互いの弱点を補完し合い、正確な音程を作ることができる…という理屈です。

じゃあ、友達の支えが無ければできねぇのかよ合唱は…、という人もいるかも知れませんが、嶋田君は右が弱点、浜田さんは左が弱点、だから嶋田君と浜田さんが合わせて歌うと二人とも完全になれる…というのが合唱なのです。それで一人一人が弱点をチョッとでも良いから少なくしていこうと努力するのが練習なんですね。だからねえ…みなさん。一人で歌うことを怖がっちゃダメですよ。むしろチャンスと思ってくださいね。

「エーデルワイス」でも言いましたが「ビリーブ」で強く言ったことは、日本語を繊細に表現しようとすることによって元気を失ってはならない…ということです。「火、俺、アーサーのか?銭」とか「くじ消そうになった時は」とか「かな?染みや、来る染みが」などと聞こえても良いから、元気のある声を失ってはいけない。

第1は元気に生き生きと。第2は音程。第3はハーモニー。言葉の表現は第4です。

「花は咲く」。嶋田先生は忘れていました。大高イオンの本番は3月11日。何と、あの大震災が起こった同じ日の、おそらくは同時刻になるわけです。そのことを意識して選曲したわけではもちろんなく、ただ「空」の愛唱曲としたいという思いがあっただけなのですが、それにしても何という偶然でしょうか。本番では黙祷をお客様に呼びかけた後に歌うことになるかもしれません。それだけに「花は咲く」は本気になって歌ってほしいです。いいかげんな気持ちでテキトウに歌うわけにはいきません。だって同じ日の、同じ14時47分になる可能性は十分にあるのですから。

ですが、優先されるのは言葉の表現よりも生き生きとした生命力です。その生命力を支えるのは、やはりイメージです。「花は花は花は咲く」というフレーズが最後に3回繰り返されますが、どんどん力強くなっていかなくてはなりません。その表現を支える嶋田先生のイメージは以前に書いたとおりです。しかし、嶋田先生のイメージが正解であり最善であるとは限りません。「嶋田先生のイメージとは違う、自分なりのイメージを持っている人はいますか?」と質問したところ、6~7人の手が上がりました。その中には小学生もいました。これは本当に嬉しいことです。1億円払うから自分のイメージを持ってくれ…と土下座して頼んだところで、持てるものではないのです。ですから嶋田先生とは違う「自分なりのイメージ」「自分なりの解釈」を持ってくれた子の、そのイメージや解釈は1億円以上の値打ちがあるのです。その解釈とイメージ、いつの日かぜひ聞かせてほしいものです。

「禁じられた遊び」は満点で言うことはありません。

「空がこんなに青いとは」は17小節目の3声のハーモニーを力強く、そしてそのフォルテを19小節目まで継続させるように指示をしました。

「未知という名の船に乗り」は少しテンポを速くするかもしれません。この曲はもともと歌詞の表現は度外視されていて、躍動するリズムにいかに乗るかが眼目です。

トータルとして考えると、この愛唱曲集に取り組み始めてから、言葉の表現のことばっかりを指導してきたのではないか…という反省があります。「空」の歌詞を表現する力は湯山先生も認めてくださっていて、自信をもって良いところなのですが、それにしてもうるさく言い過ぎました。だいたい大高イオンや中部国際空港などの場で、繊細な歌詞の抑揚表現など必要なかったのにね。ごめんなさい。来週からは生き生きと行きましょう。

「Mis on inimene?」は「ヴィ イガス スィ インゲ ヒュスセ ポーレー」の4小節目、8小節目、32小節目、36小節目の違いを整理しました。今日欠席の子も楽譜を見るだけで理解でき進歩できると思います。4小節目と32小節目は全く同じなので、同じ歌詞で3種類のハーモニーがあることになります。ここをクリアに歌えれば、相当な自信を持ってソーツ先生の前にたつことができることでしょう。音は難しくありませんから、家で楽譜を見るだけで十分です。楽譜を見ながらCDを一回聴く余裕があれば完璧です。

後半の40分は久しぶりに湯山先生の音楽です。「さくらえびの海」の音を取りました。たしか2回目の練習になるはずです。所見の子も多くいましたが、40分で全部歌うことができました。すごい効率ですね。

ただ、お昼ご飯を食べながら気付いたのですが、新しいパートを決めていないのに3月11日のコンサートのための暫定パートで押し通してしまいました。これはミスった。ごめんなさい。

でも、久しぶりに聴いた湯山サウンドは気持ちよかったなぁ。やはり「空」の子の声は、湯山先生の音楽に合っていますよ。

 

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