SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


共感が膨らむ真実の音楽

12月のセントレアでのコンサートの曲目を決定させなければならないなぁと思いながら練習会場に向かっていました。大中恩先生の「うたにつばさがあれば」全曲を本当に歌うかどうか、わずかながら迷いがありました。

結論を記せば、その迷いは今日の練習ですっかり消えて、「うたにつばさがあれば」全曲を歌うぞ…という確信になりました。

先週、学校行事などの都合で大中先生に会えなかった子が、今日は多く参加してくれて、先週と今週と合わせて、かなりの数のメンバーが「うたにつばさがあれば」全曲を通すことができたからです。練習はあと2回ですが、集中して取り組めば必ずうまくいくと思います。

あと、簡単(ではないかも知れませんが)な曲として、「いぬのおまわりさん」と「バナナを食べる時のうた」を加え、クリスマスということで「きよしこの夜」(英語で歌います)という8曲のプログラムでいくことにしました。

結論報告はここまで。では、ノートを記します。

まず言ったことは、これからの練習の見通しです。次に歌う湯山先生の曲は「駿河のうた」と「ドミソの歌」ですが、どんな曲を歌うにしても身に付けておくべき「力」があります。それは、「ド」の音を聴いて「ミ」や「ソ」の音が分かる力です。あるいは「ド」を聴いて「ファ」や「ラ」が分かるという力ですね。この「力」がいかに大切か、あるいは歌っていて役に立つかは、「鮎の歌」や「四国の子ども歌」で、みなさんの実感になっていることでしょう。

あれれ、二つ音が抜けていますね。そう、「ド」の音を聴いて「レ」が分かる、「シ」が分かるという、この二つの音です。ドを聴いてレの音を取ることは難しいことではありません。おそらく全員が(これから入ってきてくれる新入団員は別として)すぐにできることと思います。ですが、「ド」を聴いて「シ」を取ることは容易ではありません。そして、鍵盤には白鍵と黒鍵がありますが、これまでの話は全て白鍵の中の世界です。これを黒鍵にまで広めていきたい。

すなわち、「ド」の音を聴いて「♭ミ」が分かる、「ド」の音を聴いて「♯ファ」の音が分かる、「♯ソ」も「♭シ」も全部分かる…。ここまで実現したら、もうその先はありません。音取りの世界としては完成した人間ということになります。

やってみましょう。そして、やってみた結果、なれなかった…ということがあってもいい。完成した人間、パーフェクトな人間。そんなものに、そうカンタンになれるはずがない。しかし、努力によってはなれるかも知れません。そして、なれなかったとしても、その練習に取り組むことによって「ド」から「ミ」や「ソ」なら完璧に捉えることのできる…そんな子になれるはずです。

大切なことは、「なりたい」と思ってくれるかどうかです。担任として授業をやっていて一番困る子は、「なりたくない」「めんどくさい」「あきらめました」と思っている子で、ハッキリ言ってそういう人間は救いようがありません。

希望が持てる子とは、「不安だけどやってみたい」「無理かもしれないけど挑戦してみたい」「できるはずがないと思うけど少しでも進歩したい」と思っている子です。そのような子は、ヒントや支援の出し方によって、みるみる成長します。

次に言ったことは「倍音」です。今日も倍音が鳴っていました。決して多いとは言えない人数でしたが、ちゃんと鳴っています。その倍音、これまでは「聞こえるような気がしたような気がする」かどうかを聞いていました。そして「聞こえるような気がする」子が多く育っています。これを「あっ、倍音が鳴ってるね」という聞こえ方に成長させたい。さらに言えば「うわぁ~、メッチャクチャ倍音が鳴ってるぅ」などと言える子に育てたい。そんな話をしました。

「ド」の音から全ての音が取れる、倍音がメッチャクチャ聞こえる、そんな「力」が身に付いたとしたら、あなたの音楽観は変わりますよ。音楽が本当に本当に、かけねなく楽しくなります。もう、救急車のサイレンだって音階に聞こえますし、そしてオーケストラの音を聴いても、全部の楽器が何をしているか一発で全て分かるようになります。

繰り返します。みなさん、そう「なりたい」と思ってくださいね。そうなれるような作戦を、すでに嶋田先生はいろいろ考えています。

もう一つ言ったことは、外国の歌についてです。資料としてセントレアで歌う「きよしこの夜」と、歌いませんが「森のくまさん」を配りました。

「森のくまさん」をアメリカ民謡だと知らない人も多くいるのですが、そのオリジナル英語の歌詞は10番まであります。40人分用意しましたから、今日欠席した子は次回もらってください。10番まで全部をここに載せる労力はありません。9番と10番の歌詞と意味を記します。1番から8番までは、クマに遭遇して木に登ろうとした人の心情が歌われている、そのクライマックスですね。


I heard a crack                  私は(木が)裂ける音を聞き
I heard a crunch               私は(枝が)折れる音を聞いた
And I became                    そして私は
That big bear’s lunch       クマの昼飯になった

10
The moral of                     道徳の(教訓の)
The story be                      物語は
Don’t meet a bear            「クマに会うな」
Without a tree                  「木の無い所で」(ということだ)

このようにアメリカでは歌われているものを、小学校の授業ならいざしらず、合唱団「空」のレベルで「あらクマさん、ありがとう。お礼に歌いましょう」と指導する気にはなれないのですよ、嶋田先生は。

オリジナルなことをオリジナルに伝えたい、本当の意味を本気で感じ取って歌ってほしい、これが21年間を貫いてきた信条です。だから滅多に外国の曲は歌わない。歌う時には本当の意味を伝える。

だから「きよしこの夜」は英語で歌います。1番だけで良いのです。

もちろんフリガナは振っておきました。そして、「きよしこの夜」くらいを原語で歌えるようになっても、決して損にはならないと思いますよ。

すでに配付を始めている「くちびるに歌を」はドイツ語が入っています。もちろんフリガナを配布します。しますけれども、カタカナを読んでいるだけではつまらない。大きな音楽の世界を拡げてください。意味を分かりやすく、しかし徹底的に伝えるつもりです。そして、共感が膨らんだ真実の音楽を創り上げていきましょう。

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