SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


すべてのパートを歌う力のレベルアップが
ハーモニーの中を自由にワープする力を育む

インフルエンザが流行っているようです。中村区の○○小学校は学校閉鎖も考慮中、△△中学校では受験を控えた3年生の学年閉鎖が決定、などという情報を耳にしています。加えて、中学・高校のテスト前ということもあり、参加者は15人と多くはありませんでした。
何度も記していますが、参加したメンバーが「今日、練習に来て良かった」「少し進歩した」と思って帰っていく…そんな練習をしたいと(するべきだと)嶋田先生は考えています。たとえ参加者が1人であっても、その1人が「来て良かった」と思えるように教えたいと思います。そのためには、集まったメンバーにとって、最も適切な内容にしなくてはなりません。何が得意で何が苦手か、どんな長所と支援すべき短所をもっているか、1人1人違いますから、どの曲を使って何を練習するかはメンバーの顔を見て決めることになります。
決めたのは「四国の子ども歌」から2曲目「かぜかぜ吹くな」を使い、メロディーを全員で歌ってユニゾンの力を高めること(つまり「葡萄と風と赤とんぼ」でいつもやっていること)と、メロディーに絡む「囃子言葉」をつかってハーモニーを楽しむ、というプログラムを考えました。その決断までに2分。
「かぜかぜ吹くな」のメロディーはアルトから始まります。1番のメロディーは全部アルト。そして2番のメロディーは全部メゾソプラノが受け持ちます。他のパートは囃子言葉に回ります。
だから、1番をアルトで2番をメゾソプラノと歌っていけば、全部メロディーになります。とても美しい民謡調の旋律で、すぐに覚えることができました。しかも声のまとまりがあり、個人の声が飛び出して聴こえるなどということもありません。1人1人の声を伸ばすために、2小節ずつ交代して1人で歌っていく…ということもやってみました。音程はかなり正確です。
対旋律つまり「囃子言葉」は常に2つのパートが受け持っているので、対旋律だけでハーモニーを作ることができます。これも、1回聴いたらすぐに歌えるようになる…の繰り返しで、終結部まで時間をかけずに通すことができてしまいました。
音を取るのは本当に早いですね。つまり、ABCの3グループに分けて全員が全部のパートを歌い合わせるという、いつもの練習方法が短い時間で成立しました。
そこで、ちょっと視点を変えた話をしてみました。それは、「パート間を自由に飛び移る」という歌い方です。
合唱は、3つのパートが同時に進行していきます。歌う人は3つのパートの中から1つを受け持って、最初から最後まで1つのパートを歌う。ふつう、1番はソプラノで2番はアルトを歌うなんてことはしません。1番はソプラノで2番はアルトなら、まだしもイメージできるでしょうが、2小節ソプラノを歌った後で2小節メゾソプラノを歌い、次の3小節はアルトを歌う…なんてことはあり得ないことです。
あり得ないことですが、嶋田先生はそれができます。全部のパートを知っていなくては指導はできませんし、ましてや指揮などできるはずがありません。
全部のパートを歌えるようになると(あるいは知っていると)音楽の聞こえ方がゼンゼン違ってきます。コマーシャルの音楽でもベートーヴェンやワーグナーでも全部の音が聞こえると、音楽が実に豊潤に聞こえます。
もしも、みなさんが、体も声もまだ小さいけれども、聞こえ方は嶋田先生と同じレベルになったとしたら、どんな合唱団になるでしょうね。体は練習しても大きくなりませんが、聞こえ方なら練習次第で大きくレベルアップすることが可能です。
そこで、いつ、どのタイミングで、どこのパートに移っても良い、1小節ごとに歌うパートを自由に変えていって良いという荒業に挑戦してみよう…という話をしてみました。
ゲーム感覚でやってもましたが、けっこうできるものです。誰がどのパートを歌っているか分かりませんし、ある一瞬、特定のパートを誰も歌っていないという現象も起こりますから、できあがる響きは時々ヘンテコになります。でも、ハーモニーの中を自由にワープする力も育ちつつあると実感することができました。
この方法を「雨の遊園地」でも試してみました。「雨の遊園地」でもハーモニーワープができるということが分かりました。
でも、ちょっとレベルが高すぎる話、強引な練習になってしまったかもしれません。

この日から毎回、練習の終わりに無記名アンケートを取ることにしました。設問は次のとおりです。
今日の練習は楽しかったですか?
今日、「自分は上手になった」と思ったり「すこし進歩した」と感じたりしたことがありましたか?
 これを「とても」「すこし」「あまり」「ぜんぜん」のいずれかに○を付けてもらいます。
「とても」を4点、「すこし」を3点、「あまり」を2点、「ぜんぜん」を1点として、平均点3.5を目指します。毎回、嶋田先生の通知表をつけよう…というわけです。
結果は、①が「とても」11人、「すこし」4人。②が「とても」2人、「すこし」13人。「あまり」「ぜんぜん」は0人というものになりました。つまり、
今日の練習は楽しかった        3.7ポイント
「上手になった」「進歩した」と感じた  3.1ポイント
ということになります。
集まったメンバーを見て2分で組み立てた練習内容は、かなり適切な内容であったようです。しかし、先にも記したように、ちょっとレベルの高いトレーニングになってしまったかと反省しています。レベルが高いというよりも、みんなにとって「何ができるようになったか」が自覚しにくく見えにくい内容であったと言えます。
次回以降、「君はここが良かった」「あなたはこれがレベルアップした」と具体的に言えるような練習をしていきたいと思っています。

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