SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


3倍の時間がかかっても、5倍以上の力が付く
みなさん、耳が育ってきましたね

先週は、豊明老人保健施設での慰問コンサート、ご苦労様でした。音楽の力、歌の力というものを実感したコンサートになりました。ご協力いただいた団員と父母の皆様に、あらためて感謝いたします。
それから今日も、見学者が2人ありました。6年生の女の子。入団してくれるといいな。
先週見学に来てくれた3人のうち、1人は来週から入団と聞いています。あとの2人にも期待しましょう。

さて、今日は気持ちも新たに、湯山先生の作品に取り組みました。とは言え、基本的な力がなければ、どんな曲でも歌えませんから、湯山先生の作品を使って力を付ける…という練習を継続します。
なぁ~んだ…と思われるかもしれませんが、「葡萄と風と赤とんぼ」です。この曲は本当に音程、発声、言葉の発音など、いろいろな力を高める要素を持っていて、非常に有効な練習を展開することができます。まあ、そのうちに、この威力を実感してもらえる時がきます。
全員に一人で歌う時間を与え、一人一人の長所と支援すべき点を把握していきます。しかし12月に比べても、かなり伸びてきている子がいて実は内心ほくそ笑んでいるのですよ。嶋田先生は。これは浜田先生も同意見で、ピアニストの耳はすでに子どもたちの進歩と向上をとらえておられます。
しかし、合唱団の練習ですからハーモニーを作らなくては面白くありません。で、2番と3番の練習にも入ります。3番は4声に分かれますから、パートがきちんと決まっていない現在の状況では大変に時間がかかります。来ている子をABCの3つのグループに分け、Aがソプラノ、Bがメゾ、Cがアルトを歌った次は、Aがアルト、Bがソプラノ、Cがメゾ。その次はAがメゾ、Bがアルト、Cがソプラノ。これで一巡ですから3倍の時間がかかる。
しかし、3倍の時間がかかっても、5倍以上の力が付きます。合唱は、いろいろなメロディーを相手に合わせて協調して表現する活動ですから、自分だけがバンバン歌うっていうのは合唱の力ではない。その、相手に合わせて協調して歌うという力があって初めて、その子は合唱をする力を付けたのだ…と言えます。
ソプラノ、メゾ、アルトのパートは、その子が持っている声の高低と音質によるものであり、どのパートになろうと「協調して歌う」力は必要なのです。
しかし、その3倍かかる練習が、1時間30分でできてしまうのですから、すごく効率が良い。みなさん、耳が育ってきましたねえ。
休憩の後は、「鮎の歌」から「雉」を歌いました。実質40分ほどの時間しか残っていなかったので、今日はこのパートをやってみたい…というパートの場所に行ってもらい、いわば暫定ソプラノ、暫定メゾ、暫定アルトになってもらいました。いわば、今日だけのパート編成です。
しかし、全部のパートを全員で歌う(音を取る)ことは絶対に外しません。自分が今からこのパートを歌うぞっていう時に、相手がどのように歌うのか知らないってんじゃ話にならない。っていうか、そんな練習は練習じゃない。ただの歌遊びに過ぎません。
全部のパートを歌っておいて、さあ合わせるぞ…という時に、暫定パートを使います。つまり1回しかやらない。「葡萄と風と赤とんぼ」は、これを交代して3回やったわけです。
ところがですねえ。すごく良いハーモニーが生まれましたね~。確か「雉」を練習するのは今日が2回目のはずです。それが、どんどん音を取っていって、あっという間に全曲を歌い合わせてしまった。その時間は40分です。たいしたもんだわ。
言っておきますが、早けりゃ良いってもんではありません。表現には熟成が必要です。そのためには歌詞の理解や物語への共感など、歌の練習とは異なる要素が入ってきます。まさに「チコタン」がその世界でした。
しかし今日、嶋田先生は「雉」という素晴らしいワインを仕込んで、そのワインをカーブにしまって熟成させるための蓋をすることができたと実感することができました。
このまま熟成のためにしまいっぱなし…と言ったら、今日都合で練習に来られなかった子にとってはあまりの仕打ちですから、あと何回か、熟成の進行をチェックするために蓋を開けようと思います。
さあ来週は、どのワインを仕込みましょうか。「わさび田」にしようかな。「いちごたちよ」にしようかな。
先生を、そんなワクワクした気持ちにさせてくれる「空」のみんなに、本当に感謝しています。

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