SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


音楽の力とは何か,人の心に伝わる表現とは何か
慰問コンサートは生きた勉強です

合唱団「空」の重大行事,この日は豊明老人保健施設への慰問コンサートでした。何回目になるのか,もう嶋田先生も忘れてしまいました。10年以上は続いていると思います。
プログラムは文部省唱歌です。今年は「ふじ山」「茶つみ」「おぼろ月夜」「春の小川」「こいのぼり」「われは海の子」「もみじ」「ふるさと」「冬げしき」「ゆうやけこやけ」そして「きよしこの夜」を英語で…というものになりました。
ずいぶん前から,練習はコンサートの当日の午前中のみ,その後,午後に保険施設へ出かけて本番…という形が定着しています。
定期演奏会で歌う曲の練習が終わってから毎週10分ずつ…などというやり方では,何ヶ月もかかってしまいます。また,本番の日に都合が良くて参加できる人だけが練習するわけですから,すごく効率が良い。で,この形になったわけです。
今年は,その練習が非常に短くてすみました。発声練習の後,9時45分くらいに楽譜を配り,休憩をはさんで11時30分くらいには終わりました。その後は「葡萄と風と赤とんぼ」を使って,一人一人が歌い,力を付けるという例の方法をやったのです。
やったと言うより,やれたと言った方が良いかもしれませんね。先生だって,そんなに時間に余裕が生まれるなどとは予想していなかった。そもそも,老人ホーム慰問コンサートの当日練習に,他の曲を練習したなどということは初めてのことでした。
それは,集まったメンバーが,どんどんできるようになった,どんどん歌えるようになったということで,月並みなホメコトバを使いますが「レベルが高い」ということになります。このような効率性と集中力が日常のものとなれば,「四国のこども歌」だろうと「かもめの歌」だろうと,短い時間で表現を作ることができるようになることでしょう。
今後の活動に期待がもてます。
期待がもてる…と言えば,この日は3名(2世帯)もの練習見学者がありました。入団してくださると良いですね。仲間,友達。これは,お金では買えません。学校でも同じですよ。「1000円あげるからボクと友達になってよ」なんて言ったって「わかった。なってあげるよ,1000円ちょうだい」などと答える人はいない。仲間や友達は,その人がやさしいからできるのであり,そのチーム(クラスあるいは集団)に魅力があるからできるのです。
新しい仲間がどんどん増える,そんなチームになりたいですね。
もうひとつ,期待がもてること。それは,母親コーラスが上手になってきたということです。訓練を積んでいない女声合唱が少年少女合唱に混ざると,異質に聞こえることがありますが,それが無い。子ども独特,少年少女特有の響きがよく聞こえていて,大人の声が邪魔になるという感じが少しもありませんでした。合唱団「空」の活動に,新たな可能性が生まれるかもしれません。期待しましょう。

午後からの本番は,とても良い歌声でした。おじいちゃん,おばあちゃんたちも,楽しそうに聞いてくださいました。最後に,子どもたちがお年寄りの中に入って,「茶つみ」「春の小川」と「ふるさと」をいっしょに歌いましたが,見ていてもとても和やかな雰囲気でした。
毎年そうですが,「空」の子たちにとっては良い勉強になりました。音楽の力とは何か,人の心に伝わる表現とは何か,本当に生きた勉強です。
この慰問コンサートでプラスをもらったり,力をもらったりしたのは,実はお年寄りたちではなく,みなさん自身だったのだと思います。

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