SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


もしも毎回こんな練習ができたら、
ものすごい合唱団になる!

この日は驚異的な効率をもって練習が進みました。

「25人くらいいれば、『空と樹海と湖と』を練習する予定で来ましたが、このくらいの人数なら『ちゃっちゃちゃ畑』の方が面白いでしょう」という嶋田先生の言葉で始まった練習は、まずは発声練習を含めてP25の「ちゃっちゃちゃ畑」オリジナルメロデイーを歌います。同じメロデイーが5番まであります。そして5番まで5回繰り返して歌えば、旋律の流れはつかむことができました。発声練習的には、もう少し力一杯声を出すと効果的なのですが、朝イチということも含めて、まあそれはいいでしょう。

次に、P26からの本当の楽譜を見る。1番はオリジナルメロデイーそのままのユニゾンですからクリアです。終わりの部分で掛け声が入ります。これを、しっかりと声を出すことが難しい。なかなかできません。まあ、この掛け声がパッとできるわけがないとは思っていましたから、先生は少しもアセりません。が、この場面を救ってくれたのが日高君でした。「イヨッ」という掛け声を一発やるのですが、これがなかなかできません。日高君の数回の失敗(?)がメンバーの気分を和ませて、みんなの声が明るくなってきました。

2番はハーモニーが出てきます。湯山先生の和音構成はとても自然なので、あっと言う間に2番のハーモニーを掴むことができました。そこで、今度は小笠原君の出番です。同じ「イヨッ」という掛け声なのですが、少し雰囲気を変えなければならない。ここは小笠原君のキャラが非常にふさわしく、かなりイメージどおりの掛け声です。これで、みんなの声がますます出るようになった。歌を歌うという作業は、メンバー全体を支配する「雰囲気」というものが、とても大切です。その雰囲気を作ってくれる男子に感謝です。

3番は、なんと歌詞が違うだけで、ハーモニーは2番と全く同じ。だから注目は、掛け声に移ります。次なる登場は杉山君で、ちょっと恥じらいのある「ハッ」になりましたが、けっこう面白い。このあたりで、全員でやる「ちゃちゃ、ちゃちゃちゃ」という掛け声は大変に張りのある声になっていて、「男子が一人でがんばっているのに、私たちもガンバラなくっちゃ」という雰囲気が女子を支配していました。

4番は、なんと上下2声に分かれての、オリジナルメロデイーの掛け合いです。ソプラノ側が歌い出した後、2小節遅れてアルト側が歌い出すという形。ですから音取りもクソもない世界で、あっと言う間に終わり。で、掛け声はというと、村井君の登場。彼の「イヨッ」も品が良すぎて、けっこう笑える(本当は、ゲゲゲの鬼太郎のような、ゲボっとした声がよいのですが)というか、たった一言の1秒で終わる掛け声に様々な個性が感じられて楽しかった。この4人、たまたまそういう順番でそこに座っていたものだから、このような目に遭った(?)のであって、本番で誰がどこを担当するかは当然のことながら今後の研究課題です。

さて5番。4番と同じで主旋律のカノンです。ただ5番ではアルト側が2小節先行して、ソプラノ側が追いかける形。掛け声は…というと今までの4人が、4人全員で「イヨッ」「ハッ」っとやる。このあたりで、ほぼ鍵盤ハーモニカの補助がなくても正確なハーモニーが構築されていて、「ちゃっちゃちゃ畑」の音取りが完了。ここまでの所要時間はなんと45分!これは驚異的なスピードで、嶋田先生が予想し予定していた「今日のスケジュール」が終わってしまった。一瞬、迷いました。この後、「ちゃっちゃちゃ畑」の表現を練り上げていく作業をするか、それとも他の曲を取りあげるか、どちらがメンバーのプラスになり得となるか。瞬間の判断は、いけるところまで進行させる…という方向でした。

「ちゃっちゃちゃ畑」は全員が初見なのだし、いかに音が分かったとは言え、まだまだヨチヨチ歩きです。プロじゃあるまいし、音を取ったことがすなわち自信をもって十全に歌いこなす…という話にはなりません。その段階で、あれこれ細かい要求を突きつけるよりは、みんなが「早く歌ってみたい」と思っているであろう曲を繰り広げてみることの方がプラスになると判断しました。しかし、休憩にはまだ早い。そこで「うなぎの子守唄」を復習してみます。「ちゃっちゃちゃ畑」から「うなぎの子守唄」につながる雰囲気を味わうためです。ところが、先週やっただけの「うなぎの子守唄」も、ほぼ完璧に音が入っていて、本当にビックリした。ただ歌うだけならば、「ちゃっちゃちゃ畑」と「うなぎの子守唄」はこれでOKと、この日の段階で言うことができます。

休憩するにはまだ早い。見回すと、メンバーが26人に増えています。では、「空と樹海と湖と」をやりましょう…ということにしました。7分かかる長大な曲です。まずは中間部。「樹海の奥に人が死んでいる」から始まるP59~60は、湯山先生独特の「ド・ファ・ラの和音をず~っと続ける平行音」で、ソプラノ・メゾ・アルトの全てが主旋律…という展開です。この展開は「さくらえびの海」や「雉」にも使われています。

次にP65~66の「駿河の姿は男富士」から「月見草の花がよく似合う」を説明。ようするに全パートが同じメロデイーを歌い、2小節ずれるという、これも湯山先生の作品によく見られる展開で、それほどの問題点もなくクリアできました。

休憩の後、曲の冒頭P52~54。ここも旋律の自然な流れと自然な和音構成で、音はすぐに入ります。この部分の問題は、いかにスケールの大きい表現をするかにあり、声の力は全く音楽に追いついていかない。これは初見では無理もないことなので、一言も言いませんでしたが、ただ、スペースシャトルか何かに乗って遙かな高度から日本全体と富士山を見下ろすような壮大な表現が必要だよ…とは言っておきました。そんなことは言われなくても、そのような表現になるであろうことを直感で感じ取ってくれている(ような)メンバーも数名いて、頼もしく感じました。この冒頭の部分は、ほぼ同じ形でP57~58とP63~64の2回展開されます。そこを練習してしまうと、残りはわずかです。

P63~64の次の、P65~66「駿河の姿は男富士」は前半でやっていますから、P67~68の終結部を練習して着地点まで行きました。ただ、この「その真ん中に私と富士山」と歌うP67~68は、まさに一人一人が全身全霊を振り絞り切らなければならない部分で、なかなか大変です。しかし、とにもかくにも最後まで行きました。

次にP55~56。「今は眠っているけれど」からメゾとアルトが「燃える」「燃える」と掛け合う展開。ここを理解すると、一気に冒頭P52からP60までがつながり、残すところはP61とP62の2ページだけ…というところで時間切れとなりました。それにしても、この長大な難曲を、「ちゃっちゃちゃ畑」と合わせて初見でここまで歌ってしまうとは、さすがの嶋田先生も(?)予想外でした。先週は「予定していたことが全部できた」と記しましたが、今週は「予定していたことの2倍の内容ができた」と記すことができます。これはウソ偽りのない本当の話で、もしも毎回こんな練習ができたら、ものすごい合唱団になるというか、今度の定期演奏会はものすごいコンサートになるというか、どんなことになるのか想像もつきません。が、「次もこの調子で」とは考えないでおきましょう。先生がそんな期待をしたら、みんなも負担でしょうからね。次回も「普通に」やります。

連絡です。5月6日(水)の祝日に、中京大学文化市民会館(名古屋市民会館)での「水芭蕉忌コンサート」に、合唱団「空」の出演が決定しています。これは、中田喜直先生の音楽を歌うコンサートで、もちろん中田幸子先生もお見えになります。中田作品を、「空」は8分以内ということです。出演合唱団全員の合同演奏は「素晴らしき自然とともに」と「夏の思い出」だそうです。そこで、合唱団「空」単独のステージは、「春を歌おう」「さくら」「よみがえる光」の3曲ということにします。この3曲を知らないメンバーのために、楽譜とCDは次回の練習で用意しておきます。

充実した2009年が展開されています。受験生がんばれ!よい結果を祈っています。早く全員で練習できるといいな。

合唱団「空」の、ますますの努力と集中を期待します。

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