SORA NOTE

嶋田先生から空のみんなへ


「3つの音楽の世界」には「3種類の声」が必要です

アートピア音楽祭本番。

朝、控室に入ると26人のメンバーが揃っています。OK。ゴーサインを出します。受験生が休団中の、合唱団「空」にとっては主力メンバーが欠けるこの「冬の時期」に、例年なら考えられない本番を2週間連続でクリアすることができたことは、大きな収穫となりました。この時期までに「雉」「わさび田」「鮎の歌」の3曲が仕上がっていることは、今後の練習計画を立てる上では大きな支えになります。これで、巨大なエネルギーを要する「駿河のうた」にアプローチする目途が立ちました。都合で今日のステージに参加できないメンバーも含めて、協力・努力に大きな感謝と拍手を贈ります。特に、本番のステージに参加できないのに普段の練習にキチンと参加してくれたメンバーには敬意を表します。

さて、ある意味では非常に大きな賭でもあり、大きな興味と注目を集めた本番ですが、まずは及第点と言えるでしょう。この「冬の時期」としては150点をあげても良いと思います。今、先生は主催者からもらった録音を聴きながらこの文章を書いていますが、やや声が暗い色調を帯びているとはいうものの、それが「雉」にはよく合っていて(逆に言えば「わさび田」では少しブルー過ぎる)、その意味では「雉」が出色の出来と言えます。しかし、「雉」ではやや不満が残るテンポの変化も「わさび田」ではほぼ完璧に押さえられていて、「わさび田」も捨てがたい。

「鮎の歌」は、「わさび田」と同じく、もう少しだけ明るい声になると良かったと思えますが、なかなかに熱のこもった表現で、あっと思うエラーも一瞬あるものの、聴いていたお客さんたちには伝わるところが十分あったことと思います。3曲を通して言えることは、3つの「音楽の世界」を表現するため3種類の「声」が必要だったところを、1種類の「声」で押し通してしまった無念さが残ります。しかし、「音」はほぼ完璧に入っていて、後のことを考えると好材料でした。安心できる演奏と言えます。ところが、「地球はひまわり」は一転して伸びのある明るい声が響き、やはり曲に対する共感というものが大切なんだなあ…と痛感した次第です。

もう一つ、全体を通して、やや濱田先生のピアノに押されてしまった印象も、本番の1回だけでは分かりませんでしたが、何度も録音を聴くと感じます。濱田先生はベートーヴェンが専門で、非常に鋭い音の立ち上がりと、ダイナミックな強音と繊細な弱音の使い分けが絶妙です。その「音の幅」に26人では対抗しきれていない面がある。これは仕方のないことで、それに対抗するにはどうしても40人は必要です。もしも「空」が20人の合唱団に成り下がるとしたら、濱田先生にももう少しデイナーミクを押さえるように要求するところですが、濱田先生には今日のとおりにやっていただき、フルメンバーが集まった時点で「空」の総力をもってバランスを取ることとします。

全体を通して、やって良かった本番であり、参加して成果のあった音楽祭であったと言い切れます。ご苦労様でした。今夜は嶋田先生もいい夢が見られそうです。何?「ビリーブ」はどうだったかって?本番は嶋田先生もコーラスの中に紛れ込んでいっしょに歌っていましたので、わっかりっませ~ん。まあ、いいんじゃないの?けっこう楽しく歌えたと思いますけどね。ただ、オーケストラをもう1メートル前に出して、オーケストラの後ろに合唱台を組んでほしかったな~とは思いましたけどね。

そうそう、次回の練習では、この録音をCDにして、参加してくれたメンバーに配付いたしますので、お楽しみに。

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